情景168【寒いけど漕ぐ。連なって漕ぐ。】
部活動の帰り。すっかり日の暮れた国道沿いで、同学年の連中と縦に並び自転車を漕いでいた。ジャキジャキと自転車を漕ぐ音が縦に連なり、柵伝いのそばを乗用車が勢いよく通り過ぎていく——。
この時期はいつもこうだ。
六限まで授業に耐えてようやく部活に入れたと思えば、あっという間に暗くなってテニスボールひとつ捉えるのも難しくなる。年季の入った部室で全員が寒い寒いとぶつくさ言いながら着替え、あえなく解散の流れ。それで懲りずに今日もこうして、この寒さに打ちひしがれながら自転車を漕いでいる。
首に巻いたマフラーの隙間から、日没後の肌寒い風が服の内側にするりと忍び込んできた。これが厄介でしかたない。夕冷えする空気を感じはじめたと思えば、すぐさま夜の暗がりに包まれる自分たち。家はまだまだ遠かった。
たまらず、連れのひとりが叫ぶ。
「ファミチキ食っていこうぜ!」
全員の自転車を漕ぐ
名案かよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます