情景27【遥か空の向こう】

 やわらかい朝の風が、遥か空の向こうから吹き込んできた。朝陽のまぶしさが視界を真っ白に覆っていく。

 まばゆさをくぐり抜けた先には空があった。それは透いて青い。どこまでも高く遠い空だった。


 徒歩でおよそ七秒。

 私はベランダからその景色を眺めている。家を裏の勝手口から出て、数段ある階段を下った。そこから見下ろせる景色は、飽きることがない。

 すぐそばで乾きかけのTシャツが、頃合いでうつり変わる様々な色味を浴びながら、風と光に靡いていた。


 こういう日は、洗濯物がよく乾く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る