情景18【耳をつく北風】
街は、すっかり寒気に冷まされてしまっている。
北から冷たい気流に乗ってやってきた風が、俺の耳や頬をそっと撫でた。顎の下を冷気が抜ける。つい、襟を寄せて首をすぼめた。
そういえば、耳当てってつけたことがなかったな。暖かいんだろうか、アレ。
そんなことを思いながら、固く舗装された小綺麗な歩道をゆく。吐く息が白くなって消えた。
……ふぅ。もうすっかり冬だな。
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