情景87【湿気ったアスファルト】

 傘。持ってきた方がよかったかな。

 外に出て、思っていたよりもぱらついていた雨のかすかな粒が肌に触れる。窓から様子を伺ったときは、まだセーフかなって思ったのに。


 ……この程度なら、なくてもいいかな。


 取りに戻るか、そのまま行くか。取るに足らないことのはざまで揺らぐ休日の午前中。結局、その足で朝のパンとフルーツを買いに行った。


 昨日まではよく晴れていたせいか、その残り香とも言わんばかりの匂いが鼻につく。いっそのこと思いっきり吸い込んでみた。

 長雨の時期が来ている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る