情景35【車窓。夕の家並み】
銀色の装いに身を包んだ三両の電車が、地上で陽の照る西方へと走ってゆく。さきほどまで地下に潜っていたはずのそれは、いつの間にか地上にその顔をのぞかせていた。
車体は、乗客が窓から望む山々の脊梁に沿うようにして、敷かれたレールを淡々となぞっていく。そうして、二、三〇分ほど。
——夕の陽射しに晒された、田舎の家並みが見えてきた。
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