あなたが見た情景

ななくさつゆり

情景01【白雲】

 青天に浮かぶ白雲の流れていく様をじっと見つめているだけで、時が過ぎていく。

 そうして気ままに過ごすことの贅沢ぜいたくさに浸りながら、日だまりの草原に胡座あぐらして空を見上げていた。純白のシャツに陽光が跳ねる。風が下から空へと巻き上がった。

 このまま寝転がってしまおうか。

 それとも、立ち上がってふらりとどこかへおもむこうか。


 ——どちらでもいい。本当に、好きな方を選んでしまえばいい。


 その間も雲は流れゆく。時はのびやかに先へと進んでいた。

 この場には、言葉も仕草も必要ない。

 ただ、思いひとつさえあればよかった。

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