情景33【晴れの国の雪】

 朝、目を覚ますといつもよりつま先が冷めている。

 体を起こして目をこすり、小指の腹で目やにを払ってから、カーテンの隙間の光に気づいた。

 シャッと音を立ててカーテンを開ける。

 雪が降っていた。


 降雪の少ない地に住むと、それだけで心がうずく。

 積もるかな? まァ、積もらなくてもいい。

 ただ、道理で部屋の空気が冷めているわけだなと思った。


 布団をかぶり直し、そんな他愛のないことを雪国出身の友人に送る。

『なら、毎朝雪かきしてみるか?』

 そう言われて、笑われた。


 それでも、心はいつもより浮き立つ。

 さぁ、良い一日を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る