情景218【スマホ画面。ふとしたときに】
革張りのソファに放置していたスマートフォンを掴むとひんやりした。この時期、肌身から離してちょっと置いておくだけで、この子はあっという間に冷たくなる。スマートフォンを両の手のひらでサンドイッチにするように挟み、熱を込めてみる。
「本体の温度には、さほど変化なし」
——まァ、そうよね。
そのままソファに寝っ転がり、ひじ掛けに頭を乗せて足を伸ばした。ひじ掛けが思いの外に固くて、足もとに置いていたクッションを足で器用に頭の方へと放る。それを枕にしてから、スマートフォンにパスコードを入力してホーム画面を開いた。
「……うん?」
一瞬、画面の斜め上に一筋の光が走った気がする。画面というよりは、反射してちらついたかのような光。それが気になって、本体をちょっと高く掲げて手首を捻り、画面が見える角度を色々と変えてみた。
するとまた一瞬、同じく斜め上に一筋の光が走る。
「え、マジで。いつの間に」
その光の正体を察したとき、掴んでいた手からつるりとスマートフォンが滑った。
「あっ——」
言葉を発する間もなく、それは私の鼻筋を打った。
「いっ……!」
痛い。
それから、安全を取ってうつ伏せになり、スマートフォンをつまんでプラプラさせて再確認。
「キズが入ってたとはねぇ……」
指の腹でさすっても、そんな感触ないのにさ。
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