情景242【休日と浅緑の葉】
桜の勢いが早くも弱まってきた。つい先日まで街を彩っていた薄桃色の花びらたちは徐々に姿を消し、代わりに若葉が通りを彩っていく。春から先へと元気を蓄えながら進もうと張り切っているように見えた。
日傘、って単語がアタマによぎったのは今日の昼下がりのこと。
「今年は開花が早かったからなァ——」
なんて、なんの根拠もなく知ったふうなことを言ってみる。
手ぶらで表の通りをぶらついてから、カフェに入って抹茶オレで一服しつつ、スマートフォンを通じて友達とSNSで雑な話をする。
「平日休みはなにかと空いているからイイ」
それは、シフトで働く人間の常套句。
スマートフォンが一瞬震えた。黒々としていた液晶画面にフルカラーで友達からのリプライがポップアップする。
『ウチは絶賛仕事中ですけど?』
レス早すぎでしょ。アナタ本当に仕事中?
ともあれ、テーブルに片肘つき、手の甲に頬を乗せて窓ガラス越しに外を見た。
表の通りに並ぶ木々の浅緑の葉がみずみずしい。
なんのことはない、休日。
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