情景269【休日の朝、ほぐれていく】
日曜日。洗濯機を回して一日を始める。家事をマシンに任せてから自分は朝パンを買いに外へ出た。
今朝はよく晴れている。玄関を出たとき、
「もうちょっと薄着でよかったか?」
なんてことを気にしてしまうくらいには。
晴れているはずなのに、やけに静かで、視界に入る道端の物の動きがまったくない。ただ、ひだまりだけが一面にある。
鼻で大きく外の新鮮な空気を吸い込んで、お腹の下の方に溜め込んだ。そして、お腹に一晩溜まっていた古い空気を外にふぅーっと吐き出してしまう。
この晴れた日曜日にあって、この住宅街の路地はまだ目覚めていない。人の吐いた空気の混じっていない、まじりっけない純な外の空気が凝り固まって漂っていた。それをふんだんに吸い込んで、体の中に朝の空気を張り巡らせる。
休日の朝の呼吸が体をほぐしていく。口もとがゆるんだ。
この朝の空気が、とても好きかな。
「たまごパン。塩メロンパン」
つい口ずさむ自分がいる。日曜日の朝とはこういうものだ。
パン屋でついでに牛乳を買ってしまった。帰りの道すがら、歩く拍子にビニール袋がガサガサと揺れる音を耳が拾う。そのくらいには静かな朝。耳を立てれば、遠くで車の行き交う音が聞こえる。国道のあたりだろうか。
表の通りの車が行き交う音を遠いものにしてしまって、自分は住宅街の一角を静かに歩いている。
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