情景40【夕立】

 帰宅途中の駅を出たところで、陽光に晒されたぬるい夕立の雨がぱらぱらとアスファルトに降りかかる。駅の軒下で無意識に鞄を軽く漁ってみるも、どうやら今日の自分は折り畳み傘を持ち歩いていなかったらしい。


 根性で走るか、手持無沙汰ながら止むのを待つか。時間を確かめようと思い、胸ポケットからスマートフォンをおもむろに取り出した。

 そのとき、駅の軒からはじかれた雨滴が、手に持った画面にぽつりと垂れる。思わず指で跳ね除けた。

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