ネットから小説家デビュー!書籍化・コミカライズ・アニメ化・映画化のチャンスも! 賞金総額700万円、KADOKAWA主催の日本最大級の小説コンテスト
10,163 作品
ぱっとしない人生から異世界転生したのにやっぱりぱっとしない人生。
かと思っていたら使えないスキルだと思っていた『ゲーム』が実はすごいことに気付き……。
くたびれたおっさんのいまさらなチート異世界ライフ開幕。
世界中で突如としてダンジョンが現れ、それが当たり前のものになった世界。
ある朝、目を覚ました藤堂圭太(25)は、自宅の裏庭に昨日までなかった穴を見つけ、「ダンジョンだ」と思い、大いに喜ぶ。
なぜなら通常、ダンジョンの中からは、ダンジョン資源と呼ばれる貴重な採掘品を入手することができるからだ。
自分の土地に突然現れたダンジョンによって億単位の収益を得たという人物もざらにいるらしく、圭太の胸は高鳴る。
ところが。
「ダンジョン……じゃない?」
家にやってきたダンジョン調査員は、その庭の穴がダンジョンじゃないと判定する。
なんとその穴は、「魔物」もいなければ「ダンジョン資源」もない、空っぽの穴だったのだ。
がっくりと肩を落とす圭太。
しかし後に、そのダンジョンが経験値がガンガンに貯まる「希少ダンジョン」だということが明らかになり。
「じゃあこのダンジョンでレベル上げして、他のダンジョンを漁りにいきますか」
藤堂圭太のダンジョンチート生活は、こうして幕を開けた。
「ある日突然ダンジョンが身近に現れたら?」「異能力に目覚めたら?」etc……そんな空想を膨らませ、我々が生きる日常と地続きに起こる”ファンタジー”を描いた作品が集うこの部門。
例えば同じ「ダンジョン」をテーマにした作品であっても、作品ごとに色とりどりの創意工夫が見られ、非常に悩ましく、かつ楽しく選考させていただきました。
今回大賞として選出させていただいた『庭にダンジョンができたと思ったら、魔物はいないし、資源も0でした。※ただし経験値だけはガンガンに貯まる希少ダンジョンらしいので、ちょっくらレベル上げして、よそのダンジョンを漁りにいきます。』は、まさしく「庭にダンジョンができたら?」という出発点から想像力を膨らませた作品です。
細部まで詰められ、ワクワクとする世界観設定。読み進める手を止めさせない、テンポの良い描写。今後の活躍を応援したくなってしまう、好感の持てるキャラクター達。そういった、エンターテインメントノベルに求められる要素を兼ね備えた本作。そして何より、この作家さんの想像力が膨らんだ行方、この物語が行きつく先を見てみたい、と思わせるような魅力を持っていたことが、受賞の決め手となりました。
次回以降も、想像力の翼を存分に羽ばたかせて紡がれた作品に出会えることを、編集部一同楽しみにしております。
電撃の新文芸編集部
カクヨムコン8恋愛部門【大賞&ComicWalker漫画賞】W受賞!
二度目の皇女が未来を決める!
この世界でたった一人、優しい言葉を掛けてくれた兄を慕い、彼を王にしようとあらゆる悪事に手を染めた悪女アリアドネ。
彼女の献身は兄の裏切りという形で返され、悪逆皇女として処刑されてしまうのだが……目を覚ますと始まりの日に回帰していた!
心を入れ替えたアリアドネは、かつては敵だった第一王子に味方し、自分を利用した人々に復讐を誓う。
回帰前の記憶を駆使し、破滅の運命を打ち破れ!
「婚約破棄」「追放」「転生」など、WEB小説では王道のオープニングが存在します。物語の「起」が同じだからこそ、作家の皆さんはそこからいかにオリジナルの展開に持ち込むか、キャラクターにどんな個性を持たせるかが腕の見せ所。今回もバラエティに富んだ作品が集まりとても楽しませていただきました。
今回、大賞となった『二度目の悪逆皇女はかつての敵と幸せになります。でも私を利用した悪辣な人々は絶対に許さない!【悪逆皇女は黒歴史を塗り替える】』も、主人公が断罪される王道シーンから始まる復讐譚です。
そんな本作の魅力は、なんといっても主人公・アリアドネの聡明さです。自分を貶めた人物に復讐するための駆け引きはとてもドキドキし、繰り広げられる頭脳戦のおかげで物語には爽快感がありました。
聡明な彼女を好きになればなるほど、一度目の人生では利用されてしまったことが悲しくもなりますが、物語は復讐と同時に過去にアリアドネが犯した罪を償うシーンも描かれます。
過去の悪逆皇女アリアドネが、二度目の人生では聡明で強い意志をもった女性として上書きされていくさまが読む人をきっと虜にすると思います。
今後も読者にドキドキや勇気、現実を忘れるような楽しさを届けてくれる作品をお待ちしております。
ホビー書籍編集部
「おい、お前あいつのメインヒロインらしいぞ?」「ふふっ、知ってる」
とある夏の日。
当時六歳の主人公である 水無月 彩人は山の中で偶然美少女 街鐘 莉里を見つけ滝に落ちそうになっているところを助けた。
それをきっかけに、二人は幼馴染となり家はかなり離れているがよく遊ぶようになった。
小中学校と別々の学校に行っていた二人だが今年から同じ高校に進学。
二人で仲良く登校していると、ある日学校で可愛いと噂の女の子たちを侍らせている男に莉里が告白されて。
「おい、お前こいつのメインヒロインらしいぞ?。」
「ふふっ、知ってる。」
そう言って、意味深に笑った幼馴染は何故か今日も彩人のところにいる。
えっ、お前達付き合うんじゃないの?
これは、本来出会わないはずの二人が偶然出会い、幼馴染となりやがて幸せになる物語だ。
今年も素晴らしいラブコメ作品をたくさんご応募くださり誠にありがとうございます!
昨年に増してさらにハイレベルで独自の面白さを持った作品ばかりで、非常に読みごたえがありました。
目立っていたのは「エロゲー」「ギャルゲー」「転生」など、異世界ファンタジージャンルでも人気のタグがラブコメジャンルでも数多く見られたことでしょうか。コンテストも8回目を迎え、前回よりもまたさらに多様なヒロイン像・多様なシチュエーションでヒロインとの恋愛を描きだそうとしているのが感じられました。
今回大賞を受賞した『俺の幼馴染はメインヒロインらしい。』は、タイムリープを主題にした作品ですが、タイムリープをしているのは主人公ではなくヒロインの方だ、という作品です。悲劇的で辛い過去を持って幼少期に戻ってきてしまったヒロインの心を救ったのは、主人公のまっすぐな心でした。特別な能力があるわけでもなく、特異な才能があるわけでもない。けれど等身大で、素直で一生懸命な主人公の行動が、閉じこもっていたヒロインの心やいずれ未来で罪を犯してしまうキャラクターの心をも変えていきます。一歩ずつ心の距離が近づいていく青春の甘酸っぱさと、ヒロインの悲劇的な未来をギリギリで回避していくドラマチックな展開。ドキドキしないわけがありません!
ラブコメジャンルは、ヒロインをいかに魅力的に描き出すかも重要なポイントですが、その魅力的なヒロインがどうして主人公に恋をしてしまうのか、主人公がヒロインに何をしてあげられるかが、その作品ならではの面白さに繋がっていきます。
来年もこのコンテストで、魅力的なヒロイン、そして魅力的な主人公に出会えるのを楽しみにしています!
角川スニーカー文庫編集部
ごく平凡な25歳の会社員・糀谷胡桃のストレス発散方法は、お菓子を作ること。
胡桃はある日、恋人に振られたことがきっかけで、隣に住む変人小説家・佐久間凌に手作りタルトを食べてもらうことに。口も態度も悪い傍若無人なおとなりさんは、筋金入りの甘党男だった!?
それ以来、胡桃はお菓子を作るたびに佐久間に差し入れするようになる。ひねくれものの隣人と過ごす時間は意外にも居心地が良く、胡桃は少しずつ失恋の痛みを忘れていく。甘いお菓子を通じて、甘くない隣人との距離は少しずつ縮まっていくのだが……。
男運ゼロの尽くし系OL×ぶっきらぼうな甘党小説家の、甘いお菓子と恋のお話です。
第8回より新設された、「大人の女性読者が楽しめる、一般文芸に近しい文章・描写のある作品」を募集するライト文芸部門。お仕事、ファンタジー、オカルトなどさまざまなジャンルの作品が集まりました。
その中で、本部門の大賞に輝いた『甘党男子はあまくない〜おとなりさんとのおかしな関係〜』は、お菓子作りが得意なお人好しOLと、甘党な変人作家のじれ甘ラブストーリーです。
お菓子を通してつながる二人の、お隣さん以上恋人未満な恋模様は悶絶すること間違いなし。ヒロイン・胡桃の恋や仕事に一生懸命な姿はとても好感が持てますし、傍若無人な作家・凌が胡桃だけに見せる不器用なやさしさには思わずキュンとしてしまいました。
また、この作品のキーアイテムであるお菓子は、香りや食感まで伝わってくる様な描写がお見事でした。夜中に読むにはちょっぴり危険な「飯テロ」ならぬ「お菓子テロ」もこの作品の魅力の一つになっています。
個性の際立ったキャラクターと読み手を引き込む確かな描写力を高く評価し、今回の大賞受賞となりました。
ライト文芸部門は、ジャンルにとらわれず幅広い挑戦ができる部門です。今後の選考でも、キラリと光るアイディアを活かした素敵な作品に出会えることを楽しみにしております。
メディアワークス文庫編集部
連載というものをやってみたくなったので、完全に見切り発車で始めてみました。何字になるか不明です。また、タイトル等も変更になるかもしれません。
初っ端からいじめ描写あります。
昨年に続き二度目となるホラー部門、今年も大変楽しく読ませていただきました。
SNSで不定期に話題になる「因習村」系の作品の多さが目立ちましたが、それを逆手に取った作品や、ホラー+ミステリ、ホラー+溺愛、ホラー+SFなどのプラスアルファで相乗効果を生み出している作品等々、バラエティに富んだ新しい恐怖の形を見せていただきました。
大賞の『みんなこわい話が大すき』は、オリジナリティある怪異とヒトコワ系の要素が、小学生の女の子のあどけなさの残る視点で語られることでいっそう不気味に提示され、冒頭で一気に作品世界に引き込まれました。視点となる登場人物が複数存在し、それぞれに持つ情報が異なる中で、読者への情報開示の仕方が非常に巧みで、恐怖の演出としても謎の見せ方としても効果的でした。メインキャラクターである霊能者とその相棒のバディ関係も非常に魅力的で、この作品に限らずシリーズとして読んでみたい!と思わせられます。
応募作全体の傾向としては、作中で描かれる超常現象が物語の途中からの追加設定によりルール無用のなんでもありの状態になってしまう作品がいくつかあり、非常にもったいなく感じました。読者を物語から振り落としてしまわないよう、呪いや怪異について作中での設定を明確に定め、フェアなかたちで提示することを意識してほしいと思います。
次回もまた、新しい物語の誕生を楽しみにしています!
文芸単行本編集部
初回出荷十万本のVRMMORPG『Life is Adventure』に当選した山本さん。
このゲームは別世界を体感出来るほどの凄いゲームらしい。
というわけで、廃プレイする準備をして、いざゲームを始めた山本さんだが、ユニークスキルがチート級に強すぎて……。
運営に苦情を言ってやろうと思っていたら、何故か始まるデスゲーム。
「運営、正気か……?」
チート級スキルをお供に、デスゲームの中でもテキトーに生きていくヤマモトさんの逞しい生活を御覧下さい。
第8回で新設された本部門。既存の型やジャンルにとらわれない、強烈な個性を放つ作品が集まる、びっくり箱のようなコンテストとなりました!
中でも『バランスの良い山本さん、デスゲームに巻き込まれる。』は、特にキャラクターの個性が光る作品でした。
主人公のヤマモトは、デスゲーム世界でも一切悲観しないポジティブ思考。超マイペースでどこか抜けている、読んでいて非常に楽しいキャラクターです。
どんなに絶望的な状況でも「彼女なら何とかしてくれる!」と全幅の信頼を寄せられるほど、読者を惹きつけていた彼女の魅力が、受賞の決め手となりました。
設定やストーリーの奇抜さ、どれも物語には大事な要素です。
ただ中でも、読者と最も長い時間をともにする『キャラクター』をいかに好きになってもらえるか。
その大切さを改めて思い知らされた作品でした。
来年度も、キャラへの愛着という基盤の上で、異彩を放つ作品に出会えることを編集部一同、楽しみにお待ちしております。
電撃文庫編集部
読者開拓賞
女たらしの幼馴染み「三原優斗」に好きな人を奪われたーーという誤解を受けた「由良夏樹」は、居た堪れなくなって逃げ出したところを異世界に勇者として召喚されてしまった。
その日から六年。最悪な異世界で殺伐とした日々を過ごし、ついに魔王と背後にいた魔神を倒して地球に帰還する。ところが、時間は六年前の幼馴染みに好きでもなんでもない女子を恋人として紹介された場面だった。
異世界に比べて快適な日本の日々を満喫していると、幼馴染みによって洗脳気味で悪態をついてばかりだった義妹、幼馴染み、近所のお姉さんが、今さら夏樹に「実は好きだった」と告白してくる。しかし「あなたたちに興味ないんで」と一蹴。そんな折、夏樹の力に気付いた霊能七家の「水無月家」から監視が送られてきたことで地球にファンタジーが存在することを知り本格的に関わっていくことになる。
トラブルに愛されているのか戦いに巻き込まれながら、妖怪、悪魔、魔族、神族果てには宇宙人とも邂逅し、夏樹の日常は混沌と化していくのだった。
異世界で勇者として戦い帰還した「由良夏樹」が、地球で勇者の力で無双し、魅力的なヒロインと出会って青春を満喫するお話です。
ベストPV賞
いままで両親や弟、婚約者までにも見下され馬鹿にされ罵倒される生活をしてきた主人公は、ある日自分が前世でプレイして丹精込めて育ててきたゲームのキャラクター(アバター)で転生した事に気づく。
当然ゲームで俺が育てたキャラクターは今の世界ではたとえドラゴンが相手でも簡単に倒せるステータスであり、これからは俺のことを邪魔するやつは問答無用でぶん殴ってやる(武力で解決)と決心するのであった。
アップデート賞
15歳を迎えた者は神よりスキルを授かる。
どんなスキルを得られたのか神殿で確認した少年、アルフレッドは【経験値固定】という訳の分からないスキルだけを授かり、無能として扱われた。
そして一年後、一つ下の妹が才能がある者だと分かるとアルフレッドは家から追放処分となった。
しかし、一年という歳月があったおかげで覚悟が決まっていたアルフレッドは動揺する事なく、今後の生活基盤として冒険者になろうと考えていた。
「スキルが一つですか? ……すみませんが、それでは冒険者として務まらないと思うので登録は出来ません」
だがそこで待っていたのは、無能なアルフレッドは冒険者にすらなれないという現実だった。
受付との会話を聞いていた冒険者達から逃げるようにギルドを出ていき、これからどうしようと悩んでいると目の前で苦しんでいる老人が目に入った。
アルフレッドとその老人、この出会いにより無能な少年として終わるはずだったアルフレッドの人生は大きく変わる事となった。
サポーター賞
今回より新設いたしました「カクヨムプロ作家部門」は、歴代のカクヨムWeb小説コンテスト受賞者、及び所定のカクヨム発の書籍化作家のみ参加可能な部門です。本部門は告知直後からSNS等で大きな反響があり、おかげさまで450作品をこえる応募がありました。
新作はもちろん、著者がこれまで書き溜めてきた門外不出の作品や、Web小説の流行に囚われない作品など、多種多様でユニークな応募作品が集まり、多くの注目を集めました。
これらの厳選された応募作品による頂上決戦の結果、読者選考期間中のデータに基づいて「ベストPV賞」「読者開拓賞」「アップデート賞」「サポーター賞」の計4件を、また編集部選考により、「特別賞」「ComicWalker漫画賞」の計20件を選出しました。
Web小説を対象としたコンテストでは、なかなか類を見ない試みではありましたが、本部門を盛り上げてくださった作者・読者の皆さまには、心より感謝申し上げます。ご参加いただき誠にありがとうございました。
第8回カクヨムWeb小説コンテスト 選考委員一同
該当なし
昨年に引き続き「映画・映像化賞」にご応募いただきまして、誠にありがとうございました。今年はより実写化の可能性を秘めた作品が増えたように感じられ、特にエンタメ総合部門やホラー部門等でも秀作が多く、非常に楽しく拝読いたしました。
結果は残念ながら「該当なし」となりましたが、今すぐに映像化とはならないまでも、可能性を感じた作品を2点挙げさせていただきます。
『栄光の陸軍技術研究所』は、年齢の幅が大きい個性的なキャラクター同士の世代間のギャップでコメディの様相を呈しながらも、旧日本軍の秘密実験に関わるサスペンス的な展開で、発想のオリジナリティが際立っていました。
10分しか若返ることができない設定も物語に推進力を与え、世界観としてもファンタジー要素に歴史物の側面や社会問題が内包されており、多角的な視点で描かれた秀作です。
『邪祓師の腹痛さん』は、映像が目に浮かぶ怖さを描けている点で突出しており、グロテスクさや生理的不快さのある表現もどこかスタイリッシュで、効果的な音と台詞の使い方も相まって魅力的でした。
描写だけでなく、バディもの設定や登場人物のキャラクター配置、センスの良い台詞、発生する数々の事件のバリエーション等も含め、読み応えのある作品でした。
次回もカクヨム発映画・映像化作品の発掘に向けて、魅力的な作品の応募をお待ちしております。
映像企画制作部門
2023年冬 応募開始 予定
次回コンテストの開催情報は、秋頃を目処に本サイト上で順次お知らせします。
詳細はお知らせブログやカクヨム公式Twitterをご確認ください。
「第8回カクヨムWeb小説コンテスト」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選 評
わたしたち読者が「いま読みたいもの」は毎年、毎月、毎週、毎日移り変わるもの。今回のコンテストでは、「いま好きなものを読みたい!」というわたしたちの気持ちを叶えてくれるような『多彩』な作品が多く集まりました。例年以上に主人公(ヒーロー、そしてヒロイン)の活躍が注目され、その個性がそのまま作品の魅力にも繋がるストーリーが高く評価されました。
その中でも大賞を授賞した『底辺冒険者なおっさんの俺いまさらチートを持っていることに気付く 領地経営ゲームで現実も楽々ライフ』は、特殊スキルを使って異世界生活を満喫するという安心感のあるストーリーですが、何よりも主人公の魅力が光る作品でした。
一見してかっこいいとは言えないおっさん主人公のアキオーン。しかし、それゆえに共感度の高いキャラクターとして描かれています。
冒険者を目指したいと夢を追う熱さ、悪人には容赦せず始末してみせる冷酷さ、自身の承認欲求を認める生っぽさなど、作中ではアキオーンのさまざまな一面が垣間見え、とても人間味のある主人公像になっています。
等身大のおっさんのディティールを大切にした主人公の見せ方がされており、読み進めた分だけ主人公への焦点、解像度が合っていき、彼に自分を重ね、あるいは彼を応援しながら、もっと読み続けたいと感じさせられる、そんな素敵な作品でした。
世界観やスキル能力の設定、個性的なキャラクターたち、読者をわくわくさせる展開の配置など、全体においても高い水準でまとめられており、エンターテインメント作品としての総合力の高さに申し分なく、本作を大賞に推薦することといたしました。
作中にもある「このまま一人でいけるところまで行ってやる!」という言葉に象徴される通り、縛られることなく自分の力でのんびり楽しく(たまには勇猛果敢に)生きることをエンジョイしたい、そんなトレンドを強く印象づけられた第8回でした。
しかしながら、常に面白いを求める気持ちは書き手も読み手も変わりありません。これからもあなたの「好き」をみんなの「好き」に進化させる意欲的な作品の登場を心待ちにしています!
MFブックス編集部