概要
戦国の世に飲み込まれる人々の行方、昔語り。
八平本家の惣領息子、玖八郎(くはちろう)は元服を迎えた年、不知日女(しらずひめ)と呼ばれる分家の日女(ひめ)、フウを見初める。
フウは幼いとき神隠しに遭い、ところどころの記憶がないが、玖八郎は幼いフウに会ったことがあるのだ。
フウは采(さい)という少女を侍女として伴い、玖八郎のもとに嫁入りした。
その初々しい若い夫婦の暮らしは、長くは続かなかった。
山脈の向こうの大国、峡(きょう)が八平領に侵攻してきた。八平には、もとより大国にたてつく考えはなかった。
その峡に恭順の意として、人質を差し出すことを要求され、八平は玖八郎の弟とフウ、親族の少年らを差し出す決定をした。
1570年から1590年の間、奥三河を治めていた奥平一族の史実を下敷きとした、昔語り。
R15に当たるシーンがある回は〈※マーク〉がついています。
フウは幼いとき神隠しに遭い、ところどころの記憶がないが、玖八郎は幼いフウに会ったことがあるのだ。
フウは采(さい)という少女を侍女として伴い、玖八郎のもとに嫁入りした。
その初々しい若い夫婦の暮らしは、長くは続かなかった。
山脈の向こうの大国、峡(きょう)が八平領に侵攻してきた。八平には、もとより大国にたてつく考えはなかった。
その峡に恭順の意として、人質を差し出すことを要求され、八平は玖八郎の弟とフウ、親族の少年らを差し出す決定をした。
1570年から1590年の間、奥三河を治めていた奥平一族の史実を下敷きとした、昔語り。
R15に当たるシーンがある回は〈※マーク〉がついています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!昔々、確かにあった、命と愛の物語。
戦国の世。巫女として山奥で暮らしていた日女が、ある運命の悪戯で、とある武家の惣領息子に嫁ぐことになる。
そこから始まる波乱の人生。彼らが結ばれたことは果たして幸いだったのか――
史実を元にした物語ですが、著者のミコト楚良さんは「昔語り」という表現をされています。
細々とした歴史考証に囚われず、のびのびと人を描いておられます。その語り口が実にたおやかで、飄々としていて、時に笑いを誘うけれども、しっとりとした大人の描写も確実で、読むうちにどんどん引き込まれてしまいます。
時代背景は殺伐としていて、死を恐れず戦い、親族同士でも裏切りや見切りが発生するのが普通である世の中。
男も大変だけれど、女…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本格戦記の──昔語り。
美しい物語。哀しい物語。命のまことの物語。
奥三河の奥平一族の、今は歴史の影に埋もれてしまった、一人の女性の真実を描き出します。
真実、と私は言いました。
ええ、言いましたよ。
史実を下敷にしていますが、架空、と作者さまはことわりを入れています。
しかし、主人公の女性が生きた真実に、読者は触れる思いです。
そして、武家に渦巻く陰謀、本格的な戦が描きだされます。
これは戦記物ではない、昔語り、と作者さまはおっしゃいますが、迫力ある戦がたっぷり描かれた、骨太の歴史絵巻です。立派な群像劇です。
読了後の満足感、胸にあふれる、透明な哀しさの量が半端ありません。
あと、特筆すべきは、共寝のシー…続きを読む