霧ノ國 不知日女(しらずひめ)
ミコト楚良
はじまりの刻
朔
東の地の山河に
それを治めし
まず
その王子が
騎馬の
敵方の奇襲は、夜明けとともにはじまった。
「
「
大きな
――この空気を知っている。
上か、下か?
右か、左か?
まちがえれば、己だけでなく一族の死。
決断を迫られる時の、ちりちりとした焦燥感。狂おしさ。
したが、そこに恍惚とした、生きている実感が沸いてくるのは
目の前にいる赤子に情けをかけても、そののち、その者が情けをかけた者に
本家である少年の
同じ手で、跡取りである少年を
この戦とて
先から戦うつもりで
そういうことだ。
生き抜けるのは鬼になれるものだけだ。ここは、そういう世界だ。
少年が、はじめて見る戦場に
敵方にとっては自分の首が
迷う暇はない。
少年を援護する
少年も馬から降りる。
自分よりも体格のよい武将を一気に追いつめ、甲冑の隙間に刃を射し込んだ。
覚えてきた技を実践するのみ。
急所は、外さない。
「お見事です。
少年の剣術指南役であり、大叔父である
木箱を背負った
「
「皆、
少年の叔父たちは口々に己を
渦巻く、怒号怒号怒号。
戦は、
敵対した國の大将は撤退していったが、もはや、最期の光を放っているに過ぎない。
――明日は我が身、かもしれぬ。
「見事な働きじゃ、
戦のあと、本陣に招かれた
「力では、なかなか
「恐れながら」
「戦の道は筋骨ではありません。その術でこそあります」
「ほぅ」
その頭の中で、ちかりと未来図が
「お前に剣術を教えたのは、誰じゃ」
「
初代から分家した重臣の四男、
「なるほど、なるほど」
納得した、とばかりに
「覚えておこう、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
八平孫次郎貞国 この世界では土佐八平貞雄の息子
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます