鐘古こよみ

美しく、底知れぬものを秘めた幻想譚です。 きらきらとふりそそぐ月の光と、波の合間に踊る、白黒二人の童子。 その狭間を彷徨うように跳ねる鞠の色は―― あかるい面とくらい面、魂と魄…続きを読む

本作は烏丸千弦氏の代表作、ＺＤＶシリーズの短編集です。 本編である長編シリーズを通して育まれてきた、キャラクター同士の関係性や精神性が、より深く魅力的に進展していく様子がメインに描…続きを読む

作者様の子供時代に過ごされた夏がテーマのエッセイです。 時代は昭和後期。世間が好景気に沸いていた頃。 大人も子供も夢に溢れていたあの時代の空気と共に、懐かしい遊びや、冷たく涼しい川…続きを読む

ガイコツがお墓から這い出すところから始まって、ホラーかな！？とビックリさせられますが、やがてそのガイコツがちっとも怖い存在でなく、ただホカホカになりたいだけなのだとわかります。 …続きを読む

　物語がいつどこでどのように生まれたのか。 　きっと厳しい自然の中で生きる人々には、飲食と同じくらい、物語が必要だったに違いない。 　そんな原始的な感性を刺激される、神話や民話に類…続きを読む

何歳でも楽しめて、しかも年齢により楽しみ方が変わるお話だと思います。 軽妙な語り口で始まる「僕」の冒険譚。 空想好きで孤独な、いずれカクヨム始めちゃいそうな男の子が、学校からの帰…続きを読む

誰もが羨む幸せな人生。 薔薇色の生活。 そういうものと無縁に平々凡々な人生を歩んでいる自分は、つまらない人間のまま終わるのか……。 ふとした瞬間にそんな思いが過って、生きていること…続きを読む

　空を飛ぶクジラや魚たち、それを見つめる少年たち。 　生物部と美術部の二人の日常が、さりげない筆致で爽やかに描かれていきます。 　新聞を通して友情を深めていく二人が、文化祭のため…続きを読む

　教室で起きた事件。幽霊の噂。 　それを解明しようと夜の学校に集まる少年たち。 　わくわくするシチュエーションが冒頭からしっかり散りばめられていて、この先どうなってしまうのかと、楽…続きを読む

　ぬいぐるみ目線のお話です。 　お土産売り場で並んでいる時には、その他大勢のキーホルダー。でもひとたび手に取られ、買われ、家に連れ帰ってもらって、名前をつけられちゃったら、もう………続きを読む

　誰もが安心して読むことのできる、素敵なメルヘンです。 　時代がやや古く、国鉄が出てきますが、その辺りのレトロ感が、優しい文章とタヌキたちにピッタリ。 　水彩絵の具の滲むような色合…続きを読む

主人公は善人か、悪人か、何を目的としているのか。 小説を書く時にまず考える人物造形。 そうした作為をこの作品からはあまり感じられない。 言うなれば主人公は「人間」である。 光が当た…続きを読む

実在する人物のエピソード……のはずなのですが、アニメか何かを見ているようです。 怪獣ちゃん。もう、言動がいちいち想像を超えていて、面白すぎます！ それに対するお母様（著者）の切れ…続きを読む

夜空に輝く星と、日常会話で普通に使う言葉。 共通点があるとしたら、それは一体なんだと思いますか？ 筆者の彩霞さんは、日本語やその他の幅広い言語についてのエッセイを多く手掛けていら…続きを読む

時は平安時代。なにやら深刻そうな悩みを抱える、藤原忠家なる御曹司。 その内容を詳しく聞いてみると、繊細な男心が明らかに！？ 『宇治拾遺物語』に収録の短編を下敷きにした、面白エピソ…続きを読む

人生の節目でひょいと出会った路地裏の不思議な店。 「箱屋」と提灯に書かれた屋台で、主人公が望んだ箱は、彼の未来にどんな結果をもたらしたか。 ぜひ、ご自身の目でお確かめください。 …続きを読む

安いアパートには何かある……。
ショートショートならではのキレイなオチが待っています。
面白いので読んでみてください♪

タバコの煙に、個人の嗜好に合わせた広告ホログラムが浮かぶようになった世の中。 このアイデアだけで、とっても面白そうだし幻想的！　と、ワクワクしませんか？ 冒頭は四元素の話なんか出…続きを読む

こちらのオムニバス作品、タイトルのカラーがピンク色になっているので、明るい気分で読み始める方が多いのではないかと思います。 いいんです、いいんです。それで正解です。 作者のハヤ…続きを読む

あまり世間に知られていない歴史上の人物、小野篁。 井戸から冥府へ行き閻魔大王と交流があったという、ファンタジックな逸話が知られている人物なのだそうです。 主人公である、この篁が、…続きを読む

ヨーロッパ中世の森。 白く冷たい季節。 凍り付いた河で妹のグレーテルが、崖下で兄のヘンゼルが遺体になって発見される。 二人に何があったのか――。 訳あって、貴族の青年リウドルフ…続きを読む

冬の帯広、ばんえい競馬場が舞台です。 引退間近の老旗手と、かつて彼の前に幾度となく立ち塞がったライバル馬、アアモンドパイロット。 不敗の栄光を誇ったその憎き相手も、老いには勝てず…続きを読む

1970年代アメリカ。 若い女性ばかりを狙った連続殺人事件が起きる。 不可解なことに、殺された女性たちは皆、恐怖の表情を浮かべていなかった―― 本作はそんな事件を主軸とした、シリ…続きを読む

こちらの作品は大和成生さんの他のラブコメ作品と世界観を同じくしています。 一部の登場人物が他の作品にも登場しますし、同じイベントを別視点で見るという状況が発生します。 なので、でき…続きを読む

戦国の世。巫女として山奥で暮らしていた日女が、ある運命の悪戯で、とある武家の惣領息子に嫁ぐことになる。 そこから始まる波乱の人生。彼らが結ばれたことは果たして幸いだったのか―― …続きを読む

文明崩壊後の東京。かつてのテクノロジーは植物に覆われ、科学的な遺物は王宮に管理され、市井の人々は何世紀も遡る前時代的な生活を営んでいる。 浜の少年チリは、両親を亡くし、祖父と二人…続きを読む

たった140字で小説が書けるのだろうか？ そんな疑問に、筆者の島本葉氏は軽々と答えてくれます。 どうやら、140字で小説は可能なようです。短文で構成される小さな世界の中に、ほっこり…続きを読む

読み始めてまず、疑似的な近代日本（初期昭和かもっと前？）を舞台にした、雰囲気のあるSFだなあ～と感じました。ロボットがいて、魑魅魍魎が跋扈しているのだなと。 読み進めるうちに、主人…続きを読む

村人たちは昔から“それ”を受け入れてきた。 決して知ろうとしてはならない。その因習を守ることは、領主の命令よりも重要である――。 淡々と素朴な文体で紡がれる、とある村の雨の日の情景…続きを読む

湖畔の別荘で休暇を過ごす五人のバンドメンバー。 資産家の娘リヴィは女王のように振る舞い、お気に入りのジョシュを恋人にして、ジョシュと仲の良いライアンを邪険に扱う。 ライアンは、ある…続きを読む

複雑な悲しい過去を持つ美少年・テディは、イギリスの寮制学校へ編入し、自分とは真逆の性質を持つルームメイト・ルカと出会う。 最初はぎこちない二人だったが、音楽の趣味で意気投合し、やが…続きを読む

古びた紙の独特の香りが漂う落ち着いた店内。 ……と、思いきや、実は付喪神たちが好き勝手にお喋りをする、とても賑やかな場所でした！ 書かれた内容によって、語り口に個性があるのも楽しい…続きを読む

腹を抱えて笑ってしまう前作『地球最後の男……に、なるはずだった』とはテイストが違い、どちらも面白いです。 現実と虚構の境目が薄くなり、我が身を振り返ってしまう瞬間が……。 ぜひ前作…続きを読む

舞台は草原。水の枯渇が心配される沙漠地帯に相当する土地で、定住民と遊牧民がそれぞれの暮らしを営んでいます。 主人公のタリヤとカザクは、魔導士の力を持って生まれたことで、幼少期から…続きを読む

町の歴史、情景描写、住人の人柄がとても誠実に活写されていて、この童話的な世界観に自分も入りたくなってしまいます。 そして読み進めるうちに、実際に入り込んだかのような感覚に。 歴史的…続きを読む