概要
同性への恋に悩んでいたルカは、ある出来事を機に告白し、テディと校内で評判のカップルと謳われるほど仲睦まじい関係になる。しかし度重なるトラブルや、掴みきれないテディの言動にルカはだんだんと疲弊していき、ついにはとんでもない大事件まで起こしてしまって――。
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ZDVシリーズ第二弾、時系列では1番めのお話です。
★ ZDVシリーズ ★ コレクション
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!読み始めたらあっという間です!少年たちの瑞々しい出会いと葛藤、音楽。
複雑な悲しい過去を持つ美少年・テディは、イギリスの寮制学校へ編入し、自分とは真逆の性質を持つルームメイト・ルカと出会う。
最初はぎこちない二人だったが、音楽の趣味で意気投合し、やがて互いを唯一無二の存在と感じるようになる。
しかし、テディの背負う過去の影が、二人の平穏な学校生活を徐々に脅かしていく。
やがてルカは、自分にとっては不可解なテディの行動を知り、愛情との狭間で苦しみ、長い葛藤の時期を迎えることになる――。
こちらの作品は同性愛を扱ったもので、犯罪性のある性的描写も頻出します。しかし、作品の本質は人間ドラマであり、著者の烏丸千弦さんが意図するのは、「本当の愛や理解とは何か。環境や出…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美しき少年たちが出会った運命の恋。それはあまりに苦く、甘かった。
舞台は英国の全寮制学校。おぼっちゃま育ちの快活なルカと、どこか影のある美少年テディが出会い、いつしか二人は惹かれ合う。でもそれは、波乱の人生の始まりでもあった ───
とても美しい物語です。映像がありありと浮かんでくる風景や街並みの描写、丁寧に描かれる人物の心情、学友たちとの交流の臨場感、懐かしさを感じるたくさんの音楽たち、美味しそうなスイーツの数々。
そして何より、登場人物が美少年。
しかし……蠱惑的とも言えるその美しさ故なのか、テディは暗い過去を背負っています。いや、過去だけでなく現在進行形でも……酷く傷つけられ、壊され続ける彼の纏う退廃的な雰囲気が、さらに彼を妖しく美しく見せ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!青少年時代を一気に走り抜ける様な感覚
人間の暗い所にも焦点が当てられ、エロスの描写もそれ自身が目的ではなく物語の構成上のスパイスに加えられている程度。
そして、メインの二人だけではなく他の人達も細かいところまで作り込まれているのでしょう、血の通った人間にしか見えませんでした。
久々に、読みながら映像と音声、声が脳内で流れるほどの素晴らしい作品に出会えました。
最後に。
もし、テディがルカと出会わなければルカは普通の幸せを得られたのか、しかしルカがテディに合わなければ幸せなんて得られなかったのではないか。
そんな風にifの世界線を考えてしまうほどに私はこの作品にのめり込んでしまいました。
この作品に出会えた事に感謝を。 - ★★★ Excellent!!!その出会いで運命が変わった。
イギリスの寄宿学校を舞台にした現代劇ですが、端正な筆致でどこかクラシックな雰囲気も漂うラブストーリーです。
家庭に恵まれまっすぐに育ったルカと、それとは正反対の環境で生きてきたテディ。二人は恋に落ちますが、その進む先は前途多難であり……。
片方が守る・支える。もう片方は守られる・支えられる。
この関係性は夫婦や恋人同士、友人関係にも往々にして当てはまるものだと思います。
ただ、守られる・支えられる者が自棄的で依存心の強い人間であるとき、支える側の人間がどこまで寄り添えるのでしょうか。
この物語のテディは深い傷を負っています。彼の背負ったものはこの歳にはあまりにも重すぎ、一人で抱えきれるも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!英国の寮制学校で花開いた、美少年の破滅的な恋を、端整な文章で。
冒頭からまず心惹かれるのは美少年ふたり。儚げで、どこかバランスがとれずに危なっかしい可憐な転校生と、思春期らしい我の強さを持ちつつも、なんだかんだで面倒見のいいハンサム系美少年。
思春期の激情を思いきりぶつけて恋に揺れるふたりの、懊悩と喜びと成長をたっぷり綴った物語です。
丹念に、細部まで調べられた寮制学校の描写に、禁断の世界を覗くような密やかな愉しみを覚えてしまいます。
背景に流れるのはブリティッシュロック黄金時代の名曲の数々。スイーツ、煙草、音楽室、サマーキャンプ、高級車。
確かな筆力に裏づけられた、端整な文章が、物語を美しく彩ります。
英国の寮で花開いた美少年の恋――ときに切なく…続きを読む