THE LAST TIME

作者 烏丸千弦

45

18人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

イギリスの寄宿学校を舞台にした現代劇ですが、端正な筆致でどこかクラシックな雰囲気も漂うラブストーリーです。
家庭に恵まれまっすぐに育ったルカと、それとは正反対の環境で生きてきたテディ。二人は恋に落ちますが、その進む先は前途多難であり……。

片方が守る・支える。もう片方は守られる・支えられる。
この関係性は夫婦や恋人同士、友人関係にも往々にして当てはまるものだと思います。
ただ、守られる・支えられる者が自棄的で依存心の強い人間であるとき、支える側の人間がどこまで寄り添えるのでしょうか。

この物語のテディは深い傷を負っています。彼の背負ったものはこの歳にはあまりにも重すぎ、一人で抱えきれるものではありません。しかしそれを簡単に引き受けるには、ルカという同い年の恋人は幼すぎ、無知すぎる。振子が激しく揺れるようなテディの精神はルカを苦しめます。それを承知しても果たして一緒に生きて行こうと思えるか。

イギリスの文化、音楽など、筆者の知識が盛りだくさんに詰めこまれたディテールは、その方面に詳しい方ならきっと大喜びでしょう。長編ですが整頓された読みやすい文章で次の展開に進みたくなります。BLというタグにあまりとらわれず、人間ドラマとして読んで頂きたいです。

★★ Very Good!!

人の悪いところはよく目につく。美しいものを愛でるのは容易い。理解できない、裏切られたと他人を切り捨てるのはとても気が楽――うん、そうだね。私だって同意するよ。

――ところで君は、どうして誰かを愛するのかな?

都合の良い愛ばかりを語ろうとしようとする者は、必ずやこの物語に殴られることでしょう。殴られてもいいという方はどうぞこの世界を覗いてみてください――綺麗ばかりじゃないからこそ、輝くモノがあります。

Good!

BL,同性愛タグに気づかず読み進めましたが、その気がなくとも問題なく楽しめました。ヒューマンドラマとして面白かったからですね。

やや厳しい性描写もありますので15歳以下には推奨できません。
15歳…高校一年生でもちょっとまだ早いかな、と思います。
読書家でいろんな物語に接しているなら15歳以下でも大丈夫です。

英国全寮制男子校という舞台設定は映画だとたまにみかけますが、本だとあまり覚えがありません。私のような過激派異性愛原理主義者には主人公達の選択を歓迎はできませんが、ヒューマンドラマ愛好家の読書好きとしては読む価値のある物語でした。


★★★ Excellent!!!

冒頭からまず心惹かれるのは美少年ふたり。儚げで、どこかバランスがとれずに危なっかしい可憐な転校生と、思春期らしい我の強さを持ちつつも、なんだかんだで面倒見のいいハンサム系美少年。

思春期の激情を思いきりぶつけて恋に揺れるふたりの、懊悩と喜びと成長をたっぷり綴った物語です。
丹念に、細部まで調べられた寮制学校の描写に、禁断の世界を覗くような密やかな愉しみを覚えてしまいます。
背景に流れるのはブリティッシュロック黄金時代の名曲の数々。スイーツ、煙草、音楽室、サマーキャンプ、高級車。

確かな筆力に裏づけられた、端整な文章が、物語を美しく彩ります。

英国の寮で花開いた美少年の恋――ときに切なく、ときに背徳的で、永遠を求めているのに刹那的で破滅的な恋――を覗いてみませんか。