その出会いで運命が変わった。

イギリスの寄宿学校を舞台にした現代劇ですが、端正な筆致でどこかクラシックな雰囲気も漂うラブストーリーです。
家庭に恵まれまっすぐに育ったルカと、それとは正反対の環境で生きてきたテディ。二人は恋に落ちますが、その進む先は前途多難であり……。

片方が守る・支える。もう片方は守られる・支えられる。
この関係性は夫婦や恋人同士、友人関係にも往々にして当てはまるものだと思います。
ただ、守られる・支えられる者が自棄的で依存心の強い人間であるとき、支える側の人間がどこまで寄り添えるのでしょうか。

この物語のテディは深い傷を負っています。彼の背負ったものはこの歳にはあまりにも重すぎ、一人で抱えきれるものではありません。しかしそれを簡単に引き受けるには、ルカという同い年の恋人は幼すぎ、無知すぎる。振子が激しく揺れるようなテディの精神はルカを苦しめます。それを承知しても果たして一緒に生きて行こうと思えるか。

イギリスの文化、音楽など、筆者の知識が盛りだくさんに詰めこまれたディテールは、その方面に詳しい方ならきっと大喜びでしょう。長編ですが整頓された読みやすい文章で次の展開に進みたくなります。BLというタグにあまりとらわれず、人間ドラマとして読んで頂きたいです。

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