時は南北戦争が始まる直前、アメリカのワシントンDC。北部に所属する将軍の娘である15歳の主人公が、カッコ良い男子を探して参加したパーティーで一人の軍人の青年と出会ったところから南北戦争に関わっていくストーリー。
タイトルと導入部分はライトな感じでとっつきやすいところから、どんどん南北戦争の中心に飲み込まれていくのがとても興味深いと感じました。私のように今までアメリカ南北戦争というものに興味が無かった方にも、その時代を扱った作品に興味ある方にもどちらにもおススメできる内容となっています。
私は前述のとおり南北戦争について疎いので、史実でもあった出来事なのかそれとも小説の中でだけの出来事なのかはわかりませんが、印象的なスピーチが作品の中で幾つか登場します。それらが今の戦争と平和、何を以って平和と為すかについても考えさせられるしとても説得力のある内容で、個人的にすごく心に残りました。
アメリカ南北戦争の中を強く生きた、勇敢な姉妹の物語です。
姉のカミラと、妹のアニー。北軍の最高司令官・ウェブスター将軍の娘として生まれた彼女達は、その特別な立場から、次第に戦争の渦へと踏み入っていくことになります。
美しさと芯の強さで、北軍兵士たちの士気を高める象徴となる二人。しかし有力な将軍の娘という立場は、いくつもの危機や困難となって二人に襲い掛かり——。
豊富で詳細な史実に基づきながら、作者は戦争というものを冷静に、客観的に描き出していきます。どちらが良い、悪い、という視点に立たない「戦争」の描き方は、むしろ私達に戦争の恐ろしさを突きつけます。どちらにも主張があり、言い分があり、立場がある。戦争の最中では、「正誤」そのものが失われてしまう。何をどう選択しても、自分たちは正義だと錯覚してしまう狂気。自分は悪だと思いながら戦っているものなど存在しないのです。
だからこそ、理解し合う姿勢、共存しようとする姿勢が、人間一人一人に求められるのだ——そんなメッセージが、読み手の胸に響きます。
危険や恐怖に怯むことなく、自分が信じるものに向けて前進を続けていく彼女達の気高く強い生き方は、読み手の心に深く刺さります。是非多くの方に読んでいただきたい、ずしりと深い味わいに満ちた作品です。
アメリカの南北戦争を舞台にした作品ですが、この物語の主人公は当時まだ立場のずっと弱かった女性。二人の若い姉妹が歴史の渦にみずから飛び込み、翻弄されながらも自分たちのできることを貫くさまが、目に浮かぶような映像的な筆致で綴られています。
南北の立場の違いや考え方の相違、また裏切りや水面下での策略など、歴史には込み入った印象がありますが、複雑な時代背景も読者に伝わりやすい文章なのがありがたいです。
リアルな戦場の記録とともに、主人公アニーをはじめとする人物たちの心の動きも手に取るように描写され、読みやすいのに大河ドラマのような重厚さを感じます。
物語はいよいよクライマックス。壮絶な時代を駆け抜けた彼女たちの人生を追ってみてはいかがでしょうか。