哲学、なんていうと堅苦しいのですが、筆者の話はそういう机上の理屈みたいなものではありません。普段の生活に転がっているちょっとした矛盾や疑問の種がどんどん枝を伸ばし、深く根を張り、色んな可能性を含みながら広がっていく。まるで思考の大樹のよう。
抽象的な言葉も親しみやすい口調と豊かな知識でかみくだいてどんどん学生を惹きこんでいく。こんな哲学の先生がいたら楽しいだろう。学校に入り直して呪文堂クラスを受けたくなる。絶対面白い授業になるはず。しかも読者に考える余地を与えてくれる器の大きさがあり、つねに多面的に物事を捉える柔軟で広い視線がある。とにかく読んでみてほしい。楽しく哲学的好奇心を刺激してくれること間違いなし。