概要
その剣闘士はひとりの女を殺すために闘技場から出されてきた。剣闘士の前に現れたのは痩せこけた顔色の悪い若い女だった。女は皇帝の従妹であり、帝国第七軍の将だった。
剣闘士はその女の護衛となり、女と行動を共にする。数多くの敵から命を狙われている皇帝の従妹。彼は目の前の敵を斃しながらも、護っているはずの女の命も狙う。
(※過去に連載したものを、今回、章に分けました)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!歴史ファンタジー好き必読! 姫にして皇軍の将たるアフロディテの運命は⁉
「序」を拝読したときから、私は確信していました。
――この小説は名作だと。
その期待は最後まで裏切られませんでした。
いいえ、良い意味で裏切られたといえるのかもしれません。だって、「序」を拝読したときの予想をはるかに超える名作だったのですから!
舞台は古代ローマ風の異世界。
剣闘士のタキトゥスは、皇帝の従妹である姫君アフロディテを殺せという命を受けて自由の身となります。
タキトゥスの出逢ったアフロディテは、姫君でありながら皇軍を率いる将の一人であり、とりたてて美しいわけではなく、いわゆる“女性らしさ”とも無縁。
はじめはガッカリしたタキトゥスですが、いくつもの戦いや事件に巻きこまれるうち、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!物語は神話へと変わっていく
この物語を読み終えて、これはまさに作者様の渾身の作品だろうな、と思いました。これは大事に大事に書かれた、きっと作者様にとってとても大切な作品だろうと。なんというか魂がこもっている感じ、そんな作品に出会えることは読書好きにとって一番の楽しみでもあります。
大事なシーンのために選ばれた言葉の数々、登場人物一人一人に注がれた愛情と人間性、そして読者を引き込んでいくストーリーの面白さ。何より作品に引き込まれる感覚が素晴らしいものでした。
女性でありながら軍を任されているアフロディテ姫、そんな姫を殺すよう密命を受けた元剣闘士のタキトゥス。そこに宮廷の陰謀、他国からの干渉と戦争、さまざまなもの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!正統ロマンス或いは姫が超格好いい物語
ロマンスとはファンタジーや冒険小説の祖先みたいなものである。例を挙げれば「アーサー王と円卓の騎士」。イングランドが舞台がだか実在のイングランドではない。物語のために創られた架空のイングランド。そこで描かれる遠い国の理想化された物語。ロマンスは必ずしも魔法が中心ではない。時には魔法もドラゴンも出てこないロマンスもある。本作はまさしくその系譜を継ぐ、架空の世界だが所謂ファンタジーではない物語だ。
物語の冒頭は、主人公の元剣闘士と姫将軍を巡る、古代ローマを彷彿とさせる架空の帝国の重厚な軍記が綴られる。ロマンスの形式を用いたリアリズム文学が展開される予感が漂う。しかし徐々に正統なロマンスへと軌道…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最強のスペクタクル史劇! 嗚呼、前世の記憶が甦る
朝吹氏の『皇帝の従妹』は、人類の海馬の底に眠る〝戦いの記憶〟を呼び覚ます壮大な史劇です。
命を見世物とする円形闘技場。その地下には日々戦いを強いられる何百人もの奴隷剣闘士が詰め込まれています。
物語は、ひとりの剣闘士が此処から解放されるところから始まります。
彼の名は、タキトゥス。皇帝から、従妹のアフロディテ姫を暗殺せよ、との命令が下ります。いつも傍らにいて命を賭して姫を護り、殺せ――と。
このタキトゥスと対を成す存在として、アフロディテの元夫アイストスが登場します。
アイストス――帝国創成期から何人も皇帝を輩出した名家中の名家の出。神に愛され、この世の美と恵みを余すことなく授けられて生ま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!血の歴史の叙事詩のようで、一人の女のひたすら真っ直ぐな生の物語でもある
剣闘士として死ぬまで戦うよう定められていた男は、ある時皇帝の密命を受けて外の世界へと出る。
密命とは、皇帝の従姉妹姫アフロディテを護ること。
そしてその懐に入り、生命を奪うこと……。
女としては全く魅力がなさそうに思えるアフロディテ姫は、女将軍として軍役に就き、実直にその役割を果たしています。
皇帝の意図が分からないまま、読者は主に、タキトゥスと姫から名をもらった剣闘士の視点で物語を追っていくわけですが、その語り方がなんとも秀逸で。
擬似ローマとタグにある世界は非常に男臭く、泥や汗、血の匂いがプンプンと漂っています。
しかしタキトゥス視点の朴訥な文章が、実際は喜怒哀楽にガンガン動いてい…続きを読む