想像力を刺激される現代ファンタジー

 空を飛ぶクジラや魚たち、それを見つめる少年たち。
 生物部と美術部の二人の日常が、さりげない筆致で爽やかに描かれていきます。

 新聞を通して友情を深めていく二人が、文化祭のために完成させたもの。
 そのささやかな成功を寿ぐように、本物のそれが現れて……。

 派手な展開はないけれど、進む道はきっと人それぞれ違うけれど、どこで泳いでもクジラはクジラであるように、二人の友情も変わらないのではないか。

 未来への予感に満ちた、静かで軽やかな物語です。
 空想の世界に身を委ねるひとときを楽しみたい方は、ぜひ。