概要
はたして彼は夜が明けるまでにほっかりホカホカにしてもらえるのでしょうか。
友未 哲俊様主催の『第3回 児童文学の里』応募作品。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!シュールで優しい、絵本で読みたい物語です。
ガイコツがお墓から這い出すところから始まって、ホラーかな!?とビックリさせられますが、やがてそのガイコツがちっとも怖い存在でなく、ただホカホカになりたいだけなのだとわかります。
どうもホカホカにならないとお墓に帰れないようで……。
怪しむ人間の気持ちもわかる。でも、ホカホカになりたいガイコツの気持ちもわかる(ような気がする)。
登場する人間たちの反応は身につまされます。異質なものを受け入れられないその心性は、決して物語の中の人物のものではなく、現実に生きる私たちの中にあるものです。
ガイコツはやがて、人間たちの世界を出て行って、そして……。
ラストは純粋で温かです。
物語が終わりを迎え…続きを読む - ★★★ Excellent!!!寒さと暖かさが心身に沁みるガイコツの一夜話
寒い冬の晩に、ヒトのやさしさを求めて彷徨うガイコツの儚くも切ない一夜話です。
リズミカルかつ柔らかい文章で紡がれる、渡る世間は鬼のような人間ばかり(言い過ぎ)というシニカルなギャップが心地よく、作品で描写される寒さが骨身に染みるようです。
とはいえ、作中に登場する人間さんたちが悪いわけではないのです。
夜中に戸口にガイコツが来たら、普通はこういう反応をするはずなので、何も悪くないのです。
だけど、ガイコツも悪いわけじゃない。
ただ、自分の墓に戻りたいだけで、そのために体を温めたいだけ。
だけど、そのささやかな願いが叶わない理不尽さが、どこまでも穏やかに紡がれていきます。
この作品は、我…続きを読む - ★★★ Excellent!!!優しいガイコツの温かくて切ない物語
ガイコツには、朝までに、ほかほかにしてもらわないといけないわけがありました。
けれども、ガイコツという理由でそれがかないません。
そんなとき出会ったキツネの親子。
彼らとの出会いが、ガイコツにとっては、「ほかほか」のものになります。
さて……
児童文学って、どこまで子どもに寄せて書けば良いのかが、私にとってはとても難しいのですが、この作品は、子どもたちが手にとっても簡単にリズミカルに読めて、ガイコツに心を添わせられる、とてもハートフルで素敵な物語だと思いました。
「ほかほかになる」というフレーズも優しくて好きです。
子どもだけでなく、大人も読んでみて貰いたいお話です。 - ★★★ Excellent!!!求める温かさは、自分次第で別のところにも見つけられる
墓場から這い出すガイコツ……。
ホラー苦手な私はその始まりから引いてしまったのですが、タイトルの「ほかほか」通り、恐ろしげな物語ではありませんかでした。
ある願いから民家を巡り、中に入れて欲しい、ほかほかにして欲しいと願うガイコツ。
しかし、当然のことながら、突然訪ねてきたガイコツを人々は中に招き入れることはありません。
やっぱりガイコツがほかほかになることは諦めるしかないのかな…そんな切なさの中、出会ったある動物と、彼は短い時間を過ごすのです。
その時間は、彼が求めていたものとは別の温かさを与えてくれます。
ほんの小さなきっかけだけれど、自分次第で、求めるものは他の場所に、他の形でも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とても優しいガイコツさん。読んだ人の心があたたかくなります
童話的な世界観の、とてもあたたかな気持ちになれる作品でした。
ガイコツが、ある冬の日に家々を回る。「ホカホカにしてほしいのです」とお願いする。
しかし、人々は冷淡な対応をする。「ガイコツなんか家に入れたくない」と。
まあ、「ですよね~」という感じではあります。でも、このガイコツさんはとっても優しい奴なのです。
せめてもの、という形で布きれやパンや干し肉をもらうガイコツさん。
そんなガイコツさんが、その先で遭遇したものは……。
優しさ、温かさ、という言葉について改めて感じさせられる、優しい目線で綴られた物語でした。
読んだ人の心があたたかくなる、とても素敵な作品です。