黒澤カヌレ

　ずるずると、恐怖に引きずり込まれて行くような作品でした。 　ある日から、家のお母さんが始めた一つの儀式。 　死んでしまった『お父さん』のために食事を用意し、まるで一緒に食卓を囲…続きを読む

　とても素敵な物語でした。 　主人公の遥は、ある日に保護犬の譲渡会で一匹の茶色い雑種犬と出会う。遥は犬を引き取って『キンモク」と名付け、すぐに仲良しになる。 　そうして一緒に散歩…続きを読む

　これ、自分もやっちゃう可能性があるかも、と読後に強烈に思いました。 　 　「都市伝説」、ホラー好きならみんな大好き。口裂け女に人面犬、テケテケなど。 　出会った段階で絶体絶命なも…続きを読む

　不条理感満載の、とても怖い作品でした。 　謎の液体を与えられると、それに夢中になってしまう人類。それを与えて何かの喜びを得ているらしい宇宙人たち。 　敵意もなく、対等な関係ど…続きを読む

　『ふてほど』。これ、どういう言葉なのか知ってる人います？ 　え？　ドラマの話？　いえいえ、違いますよ。そのドラマはただ、タイトルを略しただけのものです。 　『ふてほど』っていう…続きを読む

　読み進める中で、見事にやられてしまいました。 　序盤を読み始めて、「これって、ちょっと青春小説？」なんて最初は思ってしまいました。なんといっても、「少女たちが昼寝を楽しむための…続きを読む

　怖さ、不気味さの演出がとても素晴らしい作品でした。 　まず舞台の設定が秀逸で、「真夜中のトイレへ向かう途中の廊下」となっています。これは多くの人間が人生で最初に遭遇する『恐怖ス…続きを読む

　序盤からとにかく想像力を刺激されまくって、色々なイメージで頭がいっぱいになる作品です。 　現世での命を終え、異世界に転生してしまった美琴。彼女はミコという名前で生活していたが、…続きを読む

　冒頭、とっても爽やかな青春小説となっています。 　告白してＯＫを貰える少年。それも、蝉の声が響き渡る八月の三十一日。場所は松の木の下。青春としての絶頂。翌日からの学校生活はひたす…続きを読む

　読み終えた後、まだ胸の中がホクホクしています。 　とても面白く、読み応えのある長編ホラー作品でした。 　まず、物語はケネスとメアリーという男女が出会うところから始まります。二人…続きを読む

　強烈な作品を読んだな、と読後にしみじみと感じ入りました。 　主人公の身に起こった『ある変化』。 　人間とは違う『別の生き物』の感覚に侵食されていく。その様子がありありと描かれ、…続きを読む

　ホラーとしての緊張感や不安感が、ひりひりと伝わってくる作品でした。 　ある、『村人たちが大量殺人された場所』の怨念に囚われてしまった主人公。そこで次々と理不尽な事象に見舞われま…続きを読む

　いいもの読んだ！ 　この作品を手に取ったら、きっと誰もがそう思うことでしょう。 　「ちょっとポンコツ化して、料理の味付けがうまくいかなくなったロボットのロビン」と「そんなロビン…続きを読む

　何と言っても、主人公たちの設定がとても魅力的です。 　 　怪異が関連する事件を専門で解決する、怪異探偵の万屋覚（よろずや・さとる）。彼には魔法の力があり、部屋と部屋を繋げることで…続きを読む

　あなたの近くに、こんな方はいらっしゃらないでしょうか？　親戚のご子息かもしれないし、あなた自身の子供、または兄弟かもしれない。 　「ねえねえ！　僕、この『仙人』って話を読んで感…続きを読む

　あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜ！ 　おれは、『ホラー小説』だと思って、この話を読もうとしてた。登場人物は学者らしき男と助手の二人。その二人で怖さとは何かを語り合ってた。…続きを読む

　構成の凝ったミステリーを見ると、思わずニヤリとしてしまいます。 　映画でも小説でも、時間軸が変わった感じになっていたり、設定が特殊だったりする話を見ると、「最終的にどんな仕掛けが…続きを読む

　もしサブタイトルをつけるなら、きっとこんな感じがふさわしいんじゃないでしょうか。 　かつて火刑にされてしまった聖女リリア・フラーシル。彼女の魂は死後も一枚の宗教画の中に留まって…続きを読む

　全編を通して、ゾワゾワと来る薄気味の悪さに満ちていました。 　八十歳近い母と一緒に海辺を訪れた主人公。母はその場で『流木』を見つけ、拾って帰ろうと言い出す。 　しかし、その流木…続きを読む

　全話読み終えた後、胸がいっぱいになりました。 　とてつもなく、素敵な物語でした。 　古代ギリシャの時代。『とある理由』でアテナイを追われる身となり、敵対していたスパルタへと逃げ…続きを読む

　静かな情緒に満ちた、とても素敵な物語でした。 　 　本作品の世界では、『夜』というものから闇が取り払われています。 　「ルナ２号」という人工的な第二の月を打ち出すことにより、世界…続きを読む

　とてつもなく楽しいミステリー作品と出会えました。 　主人公は阿形クリスティ。幼稚園児の女の子です。ミステリー好きの両親に育てられたため、幼いながらも探偵に憧れています。 　そ…続きを読む

　『運命の数奇』や『選択の重み』という言葉を強く感じさせられる短編でした。 　とある、寝たきりになった老人。その老人が戦時中に体験した『ある出来事』を回想するというもの。 　「…続きを読む

　第一話を少し読み進めた段階で、「うわ、すごく楽しい作品！」と嬉しくなりました。 　なんと言っても、主人公である盾くんのキャラがいい。彼の心の声を一人称の地の文で読んでいるだけで…続きを読む

　ホラー小説において、『人に対して意地悪を続ける人間』が登場したら、酷い目に遭う未来が確定しています。 　そんな一種の『フラグ』を見ると、そこから読者は一気に『怖いもの見たさ』が…続きを読む

　京都、なんと美しい土地だろう。すぐにでも休みを取って行ってみたいものだ。 　この作品の冒頭を読んだ段階で、しみじみとそう感じさせられました。 　それだけ、この作品は京都の情景が…続きを読む

　幽霊、ないし謎の超常現象が出てくる話というと、『怖い話』か『優しい話』かに多くは大別されます。 　幽霊が人を祟るなど、不条理な結末に導くもの。または、幽霊が人を助けてくれるとか…続きを読む

　すごく楽しいＳＦを読んでしまった。 　まずはそう表現したくなる、ポップでダイナミックな魅力のある作品でした。 　 　ぴりか、亜鳥衣、瑠流の三人は放課後の時間に「シュレディンガーの…続きを読む

　ＳＦならではの面白さが、これでもかと凝縮された作品でした。 　読み終えた後、「シンギュラリティ」なんて、いかにも頭の良さそうな単語をつい口にしてみたくなる、そんなテーマ性もあるの…続きを読む

　語りは小説の命です。そこの語り口一つによって話の雰囲気がガラリと変わり、読む人がニコニコしながら読むか、それともゾワっと戦慄しながら読むかの違いが出てくるものです。 　この『み…続きを読む

　これを読んだ後、あなたの日常が変わるかもしれない。 　人が恐怖を感じる場所と言ったら、一番はどこか。言うまでもなく、「家の中」です。 　お風呂で頭を洗っている時、夜にトイレへ行…続きを読む

　謎が謎を呼ぶストーリーです。 　照魔機関。妖怪や神のような存在が絡む怪異な事件が起こると、彼らが出動して調査・対処を行う。 　捜査機関に属する神無四辻（かんな・よつじ）と、同じ…続きを読む

　序盤からとにかく、「何かすごいことが始まりそう」という雰囲気いっぱいの作品です。 　一言で言えば、『オーラがある』と表現するのが正しいでしょう。 　主人公である舞。彼女はある抗…続きを読む

　魔法ではなく科学。その力で世の中を変えていく。 　いわゆるチートスキルとか現代知識ではなく、「科学」を扱っている点が、何より新鮮で面白いです。 　特定のスキルとかとは違い、「科…続きを読む

　耽美的な雰囲気がある、ダークな怪奇小説です。 　ある場所で、女の死体を発見する。その死体からはなぜか美しい宝石が溢れだしているのを発見する。 　このような『女性の死体』＋『ち…続きを読む

　幻想的、かつダークな魅力を持った一作でした。 　主人公である『僕』は、ある日に妹が友達の『ユノちゃん』をうっかり殺してしまったのを目にする。 　仕方なく妹と一緒に『ユノちゃん』…続きを読む

　そんなサブタイトルを勝手に付けたくなりました。 　主人公の紫霞は、元々は暗殺者として腕を認められていた。しかし、謀略によって追放・島流しという憂き目に遭わされる。 　更に、別れ…続きを読む

　「額に十文字の形の痣」という設定で、まさかの切り口でした。 　妻の額に十文字の形の痣を見つけた主人公。そして、「妻はどこかに体をぶつける度、変な形の痣が出来る」という、とても珍…続きを読む

　あたたかい気持ちになれる、とても素敵な作品でした。 「世の中で一番大切なものは何か」、「真の豊かさとは何か」と、改めて考えさせられるお話でもあります。 　ある日、与平が泉の中…続きを読む

　「練り込み具合がとってもエグい！」 　本作を評するなら、この言葉が一番しっくりくるのではないかと思います。 　いわゆる『意味怖』ジャンルに属する作品です。何かしらの不穏さが漂う…続きを読む

　読みながら、「アハハ」と笑える作品でした。 　突如、あちこちから謎の「加齢臭」が漂うようになった世界。その臭いの正体とは何か。そもそも「加齢臭」とはどういう理屈で出てくるものな…続きを読む

　ジーンと心に染み入る、とても素敵な作品です。　 　妻と娘を亡くし、一人きりで残された主人公。彼はただ静かに、家族が残した『庭』の手入れを続ける。 　そんな彼のもとに、ある日『変…続きを読む

　ホラーが好きな方だったら、きっとこんな経験もおありでしょう。 　 　怪談番組などを見ていて、『その先のオチ』が予想できてしまう。「これ絶対、足元とかに幽霊いる奴だよね」と先が読め…続きを読む

　じわじわ来る小説です。 　会話文のみで構成され、夜中に散歩に出かけた女性が「話聞こか？」という謎の存在と遭遇します。 　その先で続く「うん」という返しの連続。 　優しい顔をし…続きを読む

　よ、読んでおいて良かった……。 　読了後、そう思わずにいられなくなること必至の作品です。 　本作は、『日本社会の教育の矛盾』を鋭く突いた事態が起こります。私たちが知らず知らずに…続きを読む

　最後まで読み終え、あまりの楽しさに頬が緩みました。 　見事な叙述トリックで、ミステリー好きとしてもホラー好きとしても猛烈に楽しめる一作でした。 　そして、叙述トリックと言え…続きを読む

　「うわあ、読んでよかった！」と、読後に強烈な満足感を覚えました。 　これぞミステリーの面白さだ、と衝撃やら感嘆やら、様々な感興を抱かされます。 　作中の主人公は『オウサマ』とい…続きを読む

　これぞ、生まれ変わりの面白さです。 　元々、生まれ変わりと言えば仏教的な「輪廻転生」の思想こそが本家です。 　当作品ではそうした輪廻転生の思想に基づき、「様々な生き物」に生ま…続きを読む

　全編を通し、とにかく迫力のある一作です。 　河鍋暁斎。幽霊画などで知られる幕末・明治で活躍した浮世絵師。彼が少年期からどのように絵のために人生を費やしてきたかが語られていきます…続きを読む

　ほのぼの楽しい作品でした。 　最近生意気になってきた孫の雅裕くん。主人公である『ばあば』は、そんな孫に対してちょっと意地悪な気持ちになってしまいます。 　そして、ある夜にお風呂…続きを読む