黒澤 主計

　『死神の存在を利用して、殺人を行おうとしている奴がいるかもしれない』 　船橋修司は、そんな懸念を胸に「一つの村」の中での調査を開始することになる。 　修司には、幼い頃からの…

　わたしの名前はヘラ。ギリシャ神話の女神にして、最高神ゼウスの妻。 　浮気者として有名なゼウス。そんなゼウスに怒り狂う、「嫉妬深い妻」としてわたしは知られている。 　でも、そん…

　森の中で発見した祠は、なぜかお菓子で出来ていた。 　食べた瞬間、天にも昇る心地がした。美味しい！　あまりにも美味しすぎる！ 　でも、これはやはり良くないものだった。祠を食べてし…

　俺は『くねくね』。いわずもがなの妖怪だ。 　田舎の村の中なんかでクネクネっとダンスを踊るのが大好きだ。だが、そんな俺の姿を『三秒間』見てしまうと、そいつには呪いがかかってしま…

　私は、とある宗教団体の『教祖』である。本物の霊能力を持った立派な人物。 　そんな私は、少しでも世の中を良くしようと『ありがたや霊水』という名の商品を販売し始めた。これを飲めば…

　宇卒鬼（うそつき）村。それは、世界一有名な『因習村』だ。 　『ホラシロ様』と呼ばれる神様をまつった祠があり、俺たちは生まれてからずっと「嘘」しかつけない体質を抱えて過ごしてきた…

　僕はもう、自由に本を読むことすらできないのか…… 　僕の名前は島村陽太。図書館で過ごす時間が好きだった。そこでお気に入りの本を見つけて、静かに物語に没頭する。そんな時間に安ら…

　私はゴースト看護師。真夜中の学校に現れる、最恐の怪談。 　今日も『獲物』を発見した。深夜の校舎に侵入し、私と遭遇してしまった哀れな男。 　イヒヒヒ！　逃げなさい、逃げなさい。…

　最初の内は、「いい奴」なのかもって思っちゃったんだ。 「ねえ、君の『神様』食べさせて」 　小学校からの帰り道、僕は『入れ歯』みたいな変な奴と遭遇した。そいつの頼みに、僕はな…

　僕たちはスフィンクス。高い知性を持つ、誇り高き一族だ。 　最近、僕たちの一番上の兄が倒された。やったのは『オイディプス』。あの有名な『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足」とい…

　人生を逆転する、すごいアイデアを思い付いた。 　この世界だからこそ出来ること。俺の住んでいる世界では、「前世の記憶」って奴を持っている人間がゴロゴロいるみたいだった。そういう…

　俺は異世界転生に憧れていた。剣と魔法のファンタジー世界で無双してやろうって。 　でも、俺が転生したのは『酸素』だった。言うまでもない、元素記号でいうところの『Ｏ』だ。 　ちょ…

　気が付けば、私はゲームの「悪役令嬢」に転生していた。 　このシチュエーション、よく知ってる。普通にゲームを進めるだけだったら、最後は主人公たちに敗北して、「追放」されるとかの…

　気が付けば、髪の毛が伸びていた。私たちは人形なのに。普通は髪の毛が伸びるなんてありえない。 　これは危険だ。私たちは無害な雛人形。それなのに、こうして髪の毛が伸びてしまっては…

　私はブッダ。悟りを開きし者。 　今、私の真下には一人の亡者がいる。名前はカンダタ。彼は生前に悪行を働いたが、一匹の蜘蛛を助けたこともわかっている。 　私は彼を救おうとした。一…

　私は『推理名人』な喫茶店のマスター。どんな謎でもエレガントに解いてみせる。 　この『過疎地の村』で営まれる店の中で、私はこれまでに数多くの謎を解き明かしてきた。 　そして今日…

　今日は特別な日になるはずだった。 　とある城の『殿様』であるわしは、二十年来での親友である一休さんを城に招こうとした。 　だが、その矢先に食べ物に毒を盛られる事件が発生。何者か…

　僕は一匹のモンシロチョウ。僕はある日、知ってしまった。 　『バタフライ・エフェクト』という、とんでもない力の存在を。 　なんでも僕たち蝶々が羽ばたくと、そこから起きた風が巡り…

　俺は『こっくりさん』だ。未来を知りたいと思う人々の求めに応じ、十円玉に憑依した。 　だが、大切なことを忘れていないか？　俺たちに占いをしてもらった後は、『おかえりください』を…

　異世界に転生したんだ。やりたいことって言ったら一つだろう。 　もちろん、『恋愛』だ。 　異世界に行ったらきっと素敵な恋ができる。ハーレムなんか作れなくてもいい。ただ、僕のこと…

　僕はタヌ吉。最近、人間に化ける術を覚えたタヌキだ。 　人間の世界に行って立身出世してやる。そう思って人間の町に出て行った。最初は順調だと思っていたんだ。僕の顔の方が周りの奴よ…

　【カクヨムコン１０ホラー部門　特別賞受賞作】 ＫＡＤＯＫＡＷＡにて書籍刊行が決定いたしました。 　【あらすじ】 　シャム猫のパルメザンは、深い悲しみに包まれていた。 　大…

　俺は異世界に転生した。現代知識を持つ俺は、間違いなく『無双』できるはずだ。 　大活躍。チートすれすれのハッピーライフ。誰もが俺に注目する。 　……そのはずだった。 　何なん…

　目が覚めたら、世界が『薔薇色』になっていた。 　これは間違いなく、盛られてしまったに違いない。『惚れ薬』という奴を。 　紅子、白乃、黄美。どの子もとっても魅力的だ。まさにエン…

　私は貧乏神だ。お気に入りの『アスミ』の家へ向け、現在は帰宅途中。 　小銭をドブに落とさせたり、家電を故障させたり、そうやって家計を圧迫させていくのが私の持つ力。アスミのお小遣い…

　私はツチノコ。ちょっとした暖を求め、山奥にある一軒の家へとお邪魔した。 　だが、すぐに人間に見つかってしまった。「ツ、ツチノコ？」と叫び声を上げ、その家の父親や母親、息子や娘、…

　【カクヨムコン１０短編賞（エンタメ総合部門）＆読み切りコミカライズ賞受賞作】 　俺たちは遭遇してしまった。『雪女』が人を殺してしまう場面に。 　「このことを誰にも言わないで。…

　俺は、本気で喜んでいたんだよ。俺の書いた小説の文章が『国語の問題』に使われるって。 　そして今日、問題用紙が届いた。もちろん、俺は興奮してそれを読んださ。 　前々から確かに、…

　俺は赤ん坊として生まれ変わった。母親の名前は蛍子。 　だが蛍子の奴、俺が子供らしくないから不気味だって言って、川に突き落として殺しやがった。 　そして、俺はまた生まれてきた。…

　一田和樹さま主催、第３回無貌賞「わたしの発狂日記」に寄せて書いた作品です。 　結果、『大賞』をいただきました。 　（あらすじ） 　その日記は『ヒトを喰う日記』だとされる。そこ…

　ヤーコプとヴィルヘルム。通称グリム兄弟。彼らは剣と魔法のファンタジー世界に転生した。 　兄弟はその世界でも偉人となるべく、『グリム童話』を出版する。だが、世間からは嘲笑を返され…

　俺はお菓子が大好きだった。会社の帰りにスーパーに寄り、お菓子のコーナーを見る時間を愛していた。きの〇の山、チョコ〇ーんぱん、コア〇のマーチ、ベ〇ースターラーメン。みんなみんな、…

　噂で聞いて知っていたはずだった。放課後の空き教室に、女の生首が出現すること。 　『そいつ』は強い催眠の力を持ち、一度笑いかけられると体と心を完全に支配される。 　僕はある日の放…

　チノリちゃんは五歳の女の子です。今日も元気に外へボウケンに出かけます。 　 　チノリちゃんの最近のブームは、『タマシイ』を見ることです。生き物が死んだ時にタマシイが出てくるのが…

世界が綻び始めたのは、一羽のカラスとの出会いからだった。 　奇妙なカラスとの交流を始める中で、高校一年生の瑞原直斗は『世界の秘密』に触れて行くことになる。 　カラスが一…

　コン、コン、と窓をノックする音がする。 　逆さまにぶらさがった女が、僕のことをじっと見つめている。 　なぜかドアは開かない。ノックの音は続き、「あけて」と女が呼びかけてくる。 …

　あの晩、わたしたちの村は全滅した。 　でも、わたしたちは現在新しい『体』を得ている。『生まれ変わり』を経験し、また動くことも話すことも出来ている。 　そして今日、四人が集まった…

僕はある日、『地獄の土』を手に入れた。 それを箱に詰めればミニチュアの地獄が作れる。 そして更に気づいてしまった、地獄の土に別の土を混ぜ込むと、新しい地獄が作り出せる。 腐葉土…