黒澤主計(黒澤カヌレ)さんによる、辛口ホラーの一編。
本作に登場する「生首」のシーンにはリアリティがあり、読んでいて思わず身をすくめてしまいます。
その「生首」と目が合ったが最後、催眠によって心を支配されてしまうという設定が、絶体絶命の緊張を生み出しています。しかもその「生首」、名を「マッキーちゃん」といい、「恋バナをしよう」と語りかけてくるのです。この不気味なギャップが、恐怖にさらなる不気味さをプラスしています。
そんな中、主人公は、これまで「友人たち」の話していた「失敗談」を思い浮かべながら、どうすればこの異常事態を乗り越えられるかを必死に考え抜きます。
やがて、主人公は「ある違和感」に気づきます。そこからの展開には、「マッキーちゃん」から精神的に支配されていく絶望感に満たされることでしょう。
さらに、読み終えた後にふと背筋をぞわつかせるようなギミックもあり、読後まで読者を凍りつかせる印象的な作品です。
放課後でばったり、生首と目が合ってしまった。
クラスメート達が噂する「出会ったら、終わり」とされる彼女。
彼女は無邪気にお話をしようと持ちかけてくる。
果たして終わらずに済むのか。
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作品の登場人物に「こうすればいいのに」と思ったことはないだろうか。
特にホラーは物語を進めるためか、わざわざ無策で突っ込み状況を悪化させる内容も多い。
怖いだろうし、命に関わるんだから仕方ないにせよ、もう少し考えられたのでは、と毒づくこともある。
この作品はそういった読者にオススメの作品だ。
打てる手を全部打とうと足掻く主人公と、怪異の応酬が見て取れる。
取り敢えず外面も内面も人のそれではない怪異の神秘性も不思議な魅力だ。