最後の一文まで気が抜けない精神的ホラー

黒澤主計(黒澤カヌレ)さんによる、辛口ホラーの一編。
本作に登場する「生首」のシーンにはリアリティがあり、読んでいて思わず身をすくめてしまいます。

その「生首」と目が合ったが最後、催眠によって心を支配されてしまうという設定が、絶体絶命の緊張を生み出しています。しかもその「生首」、名を「マッキーちゃん」といい、「恋バナをしよう」と語りかけてくるのです。この不気味なギャップが、恐怖にさらなる不気味さをプラスしています。

そんな中、主人公は、これまで「友人たち」の話していた「失敗談」を思い浮かべながら、どうすればこの異常事態を乗り越えられるかを必死に考え抜きます。
やがて、主人公は「ある違和感」に気づきます。そこからの展開には、「マッキーちゃん」から精神的に支配されていく絶望感に満たされることでしょう。

さらに、読み終えた後にふと背筋をぞわつかせるようなギミックもあり、読後まで読者を凍りつかせる印象的な作品です。

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