遠部右喬

　薄い顔にコンプレックスを抱く主人公・小夜子。人助けをした結果、自分が命を落とす羽目になってしまい……。 　なんとも気の毒な物語の始まりですが、ここから、小夜子の怒涛の快進撃が始ま…続きを読む

　１９世紀、倫敦の闇に君臨した殺人鬼『切り裂きジャック』。私達にとっては、既に過去の出来事です。別の国で起きた、恐ろしい事件。ですが、現実の私達に危害が及ぶことのない出来事です。 …続きを読む

　事故物件なんて、一々気にしたってしょうがない……この言葉は、ある意味正論だと思います。生命が発生して以来、我々はそれらの死の積もった上に生きているのですから。 　ですが、事故物…続きを読む

　「面白い」にはいろいろな種類があると思います。 　楽しかったり、共感を覚えたり、どきどきする甘酸っぱい物であったり……恐怖だって、物語の中であるなら「面白さ」といえるでしょう。 …続きを読む

　これは、人知れぬ使命を帯びた一族の物語。きっと、人としての分を越えてしまった、物語。 　聞くのは怖し、知らぬも怖し。 　じわりと滲む闇はおぞましく、どこか、耽美ですらある………続きを読む

　誰でも、人生で一度くらいは「別の世界」を夢見たことがあるのではないでしょうか。 　それは、どんな世界でしょう？　チート能力で無双する？　美男美女に囲まれたハーレム？　それとも、の…続きを読む

　オーストリア女大公・マリア・テレジア。マリー・アントワネットの母君、という事以外、あまり詳しく知らない方も多いのではと思います(自分がそうなのです)。 　ですが、歴史に明るくな…続きを読む

　　確かに、主人公は社畜のおっさん。彼が悪魔の力に目覚める処から始まる物語であるのは、タイトル通りです。 　ですが彼には、自分でも知らない秘密があるようなのです。 　彼を召喚する…続きを読む

　日常を浸食するナニカと、それに立ち向かう人々……物語だからこそ、私達は安心してそれを楽しめるのです。 　ですがこの物語では、しっかりと書かれた登場人物たちの生活や心情がそれを許し…続きを読む

　量子的存在の話題で必ずと言っていい程登場する「シュレディンガーの猫」。名前だけは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。 　でも、このストーリーを楽しむ為にはそれで…続きを読む

　　この物語は、女性らしい柔らかな文体の手紙という形で進んで行きます。穏やかと言っていい静けさを伴う手紙からは、彼女の置かれた状況が見えて来ます。 　……いったい、何が『変貌』する…続きを読む

　決められた文字数は、表現を縛るものではないのかもしれません。 　ここに詠まれているのは、はっとする程美しい風景描写であったり、軽やかで、時に微笑ましくと、まるで詠み人の為人が垣間…続きを読む

　扉を開けたらそこは――ベーカー街だった。 　世界一有名な探偵と言えばまず浮かぶ名、「シャーロック・ホームズ」。現代に住むマリアは、ひょんなことから彼の住むベーカー街に行くことに…続きを読む

　この話を読んだ後に日記を書ける方は、かなりの勇者だと思います。 　例えば……一日の終わりの眠りに就く前に、さて、今日あった事でも書くか……と、日記帳を手に取り、昼間に読んだこの話…続きを読む

　このお話は、主人公があるものを求めて、お盆を迎えた群馬・草津の地を巡る物語です。 　主人公は、様々な幽霊に出会うことになります。それは、求めるものを得るために必要な行動なのです。…続きを読む

　夜がまだ闇を保っていたその昔……人知れず、あやしのモノから人々を守る存在がおりました。 　これは、命がけで大切なものを守る陰陽寮の人々と、強く美しい龍の姫君の、非日常な日常物語。…続きを読む

　こんな話を聞いた、あんなことがあったんだって……不気味ではあるものの、よくありがちな「学校の怪談」でしょ……なんて、そんなに油断していていいのですか？ 　怪異というのは、想像を超…続きを読む

　ごく普通の日常を送って来た、シャイな主人公の少年。ある手紙を受け取った時を境に、彼の日常は揺らいで仕舞います。 　彼は何故、そして、一体何に巻き込まれてしまったのでしょう。秘密で…続きを読む

　見てはいけないものを見てしまった主人公。と言っても、別に恐ろしいものを見た訳ではありません。むしろ……。 　不意に目撃したものに戸惑う主人公。その結末は、読んでのお楽しみ。 …続きを読む

　光の世界と闇の世界を生きる、少年少女達の出会い。言葉を交わし、心を交わし、彼等は世界の真実を知っていく。その結末は……。 　美しいファンタジー×青春モノ。是非読んでみてください…続きを読む

　恐ろしい「ぶらさがり女」。 　ぶらさがり女に狙われてしまった主人公ですが、怪異から逃れるための手段を知っています。 　当然、主人公はそれを実行します。その結果……。 　さて、主…続きを読む

　巧みな筆致で描き出される風景は、静謐で、息を呑むほど澄んでいる。ホラーでありながら、どこかつん、と、鼻の奥が痛くなるようなお話です。 　それは決して苦しいものではなく、きらきら…続きを読む

　おおよその日本人なら、その名を知らぬ者のない大作家、「紫式部」。 　……ですが、彼女の生涯を知っている人はどれだけいるでしょう。 　こちらは紫式部の人生を、史実に沿いつつも現代…続きを読む

　安くて美味しく、手軽に買えるコンビニ飯……しかもそのコンビニは、店員さんがとても魅力的。通わずにいられないお店「ルリエーマート」……ですが。 　ウマい話には、オチがある。美味し…続きを読む

　色々な種類の「怖さ」が書かれた短編集です。しかもありがたいことに、話ごとに、怖さの目安として☆マークがついてるのです。 　ただし、☆マークが少ないからと言って、安心してはいけま…続きを読む

　主人公の女性の胸の裡が、彼女が見たかつてこの地であった出来事が、とても美しく繊細な文体で紡がれています。 　読んでいる間、菊の香りすら感じるようでした。美しさと恐ろしさは互いを…続きを読む

　現代から、まさか物語の世界に転生⁉　 　手をこまねいていたら不幸の連鎖が始まってしまう……自らの為、そして、多くの姫君たちの為に、主人公は立ち上がる！ 　果たして彼女は、稀代の…続きを読む

　ひょんなことから知り合い、漫才を始めることになった悟とくがっち。 　最初はぎこちなかった二人が次第に息を合わせ、漫才の面白さにのめり込んでいく姿は、微笑ましく、爽やかで、心の底か…続きを読む

　「エージェントシリーズ」の内の一作品です。どの話も面白いのですが、その中でも一押しのこちら。 　テンポよく次々と繰り出される怒涛のネタのラッシュ！　どうしたらこんなに面白いもの…続きを読む

　冷え切った日常に紛れ込む、更にひんやりとした非日常。それは、確かに息づいて……。 　じわじわと、主人公の日常は浸食される。理屈なんていらない。不可解で不条理なソレは、ただただ恐ろ…続きを読む

　皆さんは、どんな青春時代を過ごしている、或いは過ごしていたでしょう。 　部活に、恋に、趣味……打ち込む対象があるというのは、たとえ辛いと思う瞬間があったとしても、多分、とても幸せ…続きを読む

　誰の身にも起こり得る怖ーい体験のお話です。もしこんな状況に出くわしてしまったら……。 　目を逸らすことも、逃げることも出来ない恐怖……かもしれない、そんな状況。皆さんなら、どうす…続きを読む

　ふと思い出す、あの時の出来事。それはきっと、「事」ではなく、「想い」が心に焼き付いてしまうから起こるのでしょう。 　これは、そんな掌編です。 　時に苦く、甘く……もどかしい痛…続きを読む

　前作『ギリシャ物語』に引き続き、いくつもの都市国家が割拠している古代ギリシャ。 　それぞれの国の思惑、状況に、主人公である美貌の青年ティリオンは、否応なく巻き込まれていきます。 …続きを読む

　タイトルから想像のつかないお話です。ここに描かれた孤独、哀愁……でも、決して重すぎない軽妙な話の運び。 　痛みだけでなく、笑える。最後まで、絶妙。 　爆弾の正体、それは読んでの…続きを読む

　美味しいお菜のことを「飯どろぼう」なんて言ったりします。その美味しさに、ご飯がどんどん進んでしまうからですね。 　こちらのエッセイは「時間どろぼう」。面白すぎて、読む手が止まらな…続きを読む

　生々しく迫る言葉。「詩」という形で描き出されるのは、人という性、聖、邪、そして、生と死。 　「美」とは、あらゆる貌をしているのです。 　魂を抉るような奔流に呑まれてみたい方、ど…続きを読む

　こちらは「ギリシャ物語Ⅰ」「ギリシャ物語Ⅱ・前編」の前日譚にあたる物語です。 　「ギリシャ物語」の主人公を巡る人間模様、その始まりの物語。とは言え、「Ⅰ・Ⅱ」を先に読んでも、こ…続きを読む

　ひっち、たまさん、だーいし、かずやん。リア充を憎む彼等の活躍が、異世界の人々を、そして、退屈な日常に辟易している私達の心を救う！　煩悩塗れの青春だって、いいじゃない！ 　SFで…続きを読む

　この話に登場する「神」は、もしかしたら、既存のそれとは違うモノかもしれない。だが、人知を超える存在を「神」と呼ぶのであれば、確かにこの物語には「神」が坐す。 　読み終えた時、あ…続きを読む

　紀元前のギリシャを舞台に、美貌の青年ティリオンの辿る数奇な運命が、読み易く巧みな文体で紡がれていきます。 　読めばドキドキを得られる。おまけに、当時の社会風俗を知ることも出来る…続きを読む

　飼い猫の「ぎんちゃん」を溺愛する探偵・小林康平が受けた依頼。それはある事件に関係したもので……。 　物語は、猫の「ぎんちゃん」の視点で進んで行きます。だからと言って、甘いだけの…続きを読む

　この物語を読み終えた時、それまで自分が息をつめていたことに気付きました。それ程心に迫るものがあったのです。 　タイトルから察せられる通り、ここに描かれるストーリーは、決して心温…続きを読む

　鏡堂達哉、第二の事件簿です。 　前作「あめおとこ」からほどなく起きた、再びの不可解な事件。新たな相棒・天宮刑事と共に、鏡堂刑事が事件解決に挑みます。 　不可解な状況で連続して起…続きを読む

　この物語には、強さと弱さ、聖性、邪性……人の心に潜む、あらゆる『想い』が描かれています。 　場面が目に浮かぶリアルさを伴って。 　目を覆ってしまいたいようなそこから、目を逸らす…続きを読む

　鏡堂シリーズ第一弾。 　事故ではありえない、不可解な死を遂げる被害者達。刑事・鏡堂は無事犯人を追い詰めることが出来るのか――。 　ホラーもミステリーも堪能したい、という欲張り…続きを読む

　色々なモノが訪れる町、若葉台。今日もアンナモノやコンナモノがやって来ます。そんな町の平和を守るのは……。

　可愛くて、ちょっと不思議で、楽しい物語です。絶対に面白いです。

　レポート、日記、音声データ類。次第に積み重なるこれらで形作られたストーリー。 　記録と銘打ってある以上とても淡々と綴られているのに、読み進める毎に、心が勝手に恐怖に囚われてしまう…続きを読む

　主人公が遭遇した、とある岬での出来事……それは、不可思議で、身の毛のよだつような、深い闇夜の海の物語。 　詩的でありながら畏れに満ちた物語は、静寂と同時に、力強い命を感じさせてく…続きを読む

　タフで男前な主人公、「櫻岾」に根差す怪異。徐々に明らかになる不可思議の大元が、独特で美しいリズムの文で綴られます。 　魅力的なキャラクター、読者を飽きさせないストーリー。「ホラー…続きを読む