あらゆる存在の相貌を変え、人々のアイデンティティーを奪う女、ヘラ。
ヘラはかねてより夫の浮気に心を乱すたび、神力を用いて罪なき者――ヘラクレスの侍女ガランティス然り――を人ならざるものに変えてきた。
夫が東方の日出づる国へたどり着いた時、事変は始まった。
ついに夫が執着するすべてに対し、ヘラは牙を剥き出す。彼女もまた執着の海で溺れたのだ。
ヘラの暴走が止まらぬように、夫の女への欲求、否、耽美なるものへの欲求もまたとどまることを知らない。ヘラは心の赴くまま、次々と他者を変質させていく。
二人の肥大する情念にAKIBA界隈も巻き込まれ、事態はイーオーの牝牛が45度の急勾配を転がり落ちるように激しく展開し――。
これは一人の女が刹那的に燃え盛る生き様をユーモラスに描いた物語。
……と、それだけで簡単に終わらないのが、筆者の持つ独特な味わいだ。
ギリシャ神話をモチーフにしながら、現代日本を舞台にしてその世相を映し出し、笑いの裏にしっかりと、日本から世界へ伝播する異質なカルチャーの本質を描いている。
そして最後には思わぬ隠し玉も。
猟奇的な犯行を重ねる異常犯罪者の心の変遷を追いながら、日本人の歴史ある変態性にも迫る異色作である。
ギリシャ神話の最高神、ゼウスをご存知だろうか。彼が美女(おっと美少年もだ)に目がなく、妻のヘラが毎度怒り狂っていることも。
そんなゼウスが、かの秋葉原へやって来た。……もう嫌な予感(笑)しかしない。怒りと嫉妬のヘラは、今回もゼウスの心を奪った相手を、動物に変えようとするが……今回は勝手が違う? オリンポスの最高神夫婦を、萌えと怒りと困惑と焦燥の沼に引きずり込む魔の聖地・秋葉原の実態とは!?
しかし、毎作毎作、どうやったらこんな発想が出てくるのか。しかも、この発想だからこそのミステリーまできっちり織り込まれている。ミステリーなのでこれ以上の内容には言及しないが、作者・黒澤様の着眼には脱帽しかない。ぜひご一読を。
黒澤主計さん。いわゆるカヌレさんの最新作です。
いやー、安定の面白さ。今回も素晴らしかったです。堪能致しました。
1万字近い短編で、少し量があります。今、1分小説が大流行りですけれども、確かにこの短編をきちんと書ききるにはこのくらいは必要ですね。
第1話の秋葉のオタク文化の風景に「なるほどなー、信玄たんねえ。。今はそうなのか」と思っていると急展開。第2話で、なぜかヘラの手にたい焼きが握られている辺りから、どこかかすかな違和感が。。これはきっとカヌレさんが何か企んでいる。ことは分かりながらも、それを探るような野暮はせず(どうせ分からんけど)、読み進めると、なんと衝撃的な種明かしが。
んで、最後は、アハハのオチが待ってます。
アイデアはもちろん、全体のストーリー構成が素晴らしいです。丁寧にプロット作ってから、論理のロジックに矛盾が出ないよう、細心の注意を払って書き進められたのでしょう。
これはわたくしなどには到底書けない特殊能力ですから、ゆめゆめ真似しようなどとは思わず、鑑賞に徹することに致します。
見事な作品でした。
これはお勧めです。
ギリシャ神話のやらかし最高神が二次元に手を出すと、奥さんはこんなに苦労することになるのか……いちオタクとして震えあがるダイナミックな展開が、我らがアキハバラを中心に巻き起こります。
浮気相手の髪ひっつかんでぶん投げて動物に変えるのがデフォという、ちょっぴり(!?)やきもち焼きな奥さんヘラが、二次元に「も、萌え~」している旦那を振り向かせようとしている様子は、ある種の可愛らしいラブコメにも思えるかもしれません♪ ホントかぁ……?
正直、小ネタ一つ一つが面白すぎて笑いっぱなしのところ……さりげにミステリー要素を織り込んでくるのは、作者様の職人芸。「なぜ?」と気にさせるテクニックで読者の心を掴んで離さず、最後まで引っ張ってくれます。
今回はコメディが抜群に躍動していながら、後編の「真相判明」のインパクトで驚かせてくれるのは、本当に流石!
前編・後編で計9800字ほどの読みやすい短編、是非ともご一読をおすすめ致します……!
神様って、尊くて賢いからこそ神様なのに、どうしてこんなに人間臭いの……と古今東西の人間を困惑させ楽しませてきたギリシャ神話。人類の歴史において物語の根源と言っても過言ではありません(他地域からの異論はあるでしょうが)。
日本の二次元創作を全てぶつければ、ギリシャ神話に太刀打ちできるか?
もしかしたら互角なんじゃね? と思わせるほどに、本作ではガチの殴り合いをします。上澄みだけでなく欲望塗れの展開まで清濁併せ呑む、日本の二次元創作は層の厚さではギリシャ神話に負けていません。
そんな総論に加えて、一本の小説としての起点と奥の深さ。正に底なし。
「沼」に嵌まってみませんか。二次元創作全体もいいですし、この一本もいいですし。
最高神ゼウス様がオタクさんになっちゃった!?
そして、人間界にて嫉妬に狂ったヘラ様共々騒動を巻き起こすことに……
そんなスラップスティックコメディとして、笑えつつもワクワクしながら進行するのですが、そこはやはり黒澤様。
後編で、完全に意表を突かれるどんでん返しが……
前半の描写がかなり効いてて、すっかりだまされました(汗)
ですが、全体的に安心して楽しめるコメディミステリーとなっていて、神様と秋葉原と言うすっごいミスマッチも相まって、終始楽しい気持ちで読むことができます。
笑える前編と驚きに包まれる後編。
本当にハズレがなくて、鬼の様なクオリティ(汗)
ぜひぜひ「黒澤様の世界」へハマってください✨️
そんな方にとって、今作の完成度の高さと色合いの豊かさは、カクヨム様トップクラスにピッタリの名作です!
ゼウスとヘラと言えば、ギリシャ神話における大体の悲劇の元凶というか、マジでロクなことをしないで有名な神々。そんな2柱の神がまさかのアキハバラに降り立つという、トンデモな始まりかたをする今作。しかも、ゼウスがオタク化するという笑劇的な展開に(笑)
相も変わらず嫉妬心からか、浮気相手の萌えコンテンツに対して制裁を加えようとするヘラ。だが、そこは多様性に富んで、寛容性の高いオタクだからこそ、様々な形態に変えたところで、全てを受け入れて、そして呑み込んでいくところが面白いポイントですね( ;∀;)
神をも狂わせてしまう萌えというオタクコンテンツの力。そして物語の行く末に一体何が待ち受けているのか。是非とも読んで頂き、それを見届けてみてはいかがでしょうか(`・ω・´)ゞ
いやあ 笑……
◯ッキーマウスが、最高神よりカーストが上だったって知ってましたか? 笑
あと、
『あの日見たヘラの名前を僕たちはまだ知らない』
と
『風の谷のヘラジカ』
でどうしようもなくツボってしまいました。
あの日見たヘラの名前を僕たちはまだ知らない……
知ってんじゃん 笑
ヘラってあれか。筆の親戚みたいなあれのことか。
『風のたにのヘラジカ』
生き物変わっとる 笑
しかも、元ネタはナウ『シカ』なので、確信犯なのである。
それにしても……
他人のフェチズムですとか、ヘチズム、癖ズム……まあ知りませんけどね。
それは多種多様でして。
わかりっこないんですな。
わかる者同士にしかわからないから、わからない人は排除されてしまうんですな。
しかしそれが、自分の旦那だったら問題だってんで……。
でも、会ったことないからわかりませんが案外、現実の神様もこんななんじゃないかなと思いますけどね 笑。
あと、今回も主人公は女神…… ……と見せかけて、やっぱり、女神でした。
新たな聖書の1ページ。
ぜひ、ご一読を。
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以下、ネタバレを含みます。未読の方はご反転ください。
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さて、現在、黒澤先生の将棋の相手を務めさせていただいてる私ですが、
私から皆様に朗報があります。
先生は、もちろん、この物語の続編を現在執筆中で、今日の正午にも投稿されるご予定です。
だって、そりゃあそうです。
秋葉原じゃなくて、アキハバラってカタカナ表記にしたのには絶対意味があるんです。
しかも相手は黒澤先生ですよ? 黒澤先生といえば……
そうアナグラムです。そして題材が『神』となったら、もう一つしかないじゃありませんか。
↓ ↓
そんなこんなで……『元カノ依存』と言う新たな属性を手にした神、ゼウスは、テミスを萌の対象にしたわけだが……
それは、ゼウスだけではなかった……
違う神たちも、こぞってテミスを『萌え』の対象にし出したのだ!
テミスが周囲を見渡すと……違う神、
『大神◯郎』
そして、
『光源氏』
そして、
『どっかから連れてきた伊藤とか言うやつ』
が、こぞってテミスに言い寄ってきたのだ!
しかもこいつら全員、浮気者oops…… 『ある種の属性』を持っているものだった!!
それも、なぜか神を崇拝するかのように迫ってくる。
なんで!?
テミスはアキハバラからの脱出を図るが、彼女の体は一歩もアキハバラから出ることは許されなかった。
困惑するテミスに、真実が告げられる……
わたしは本当のテミス……でもない。
そうか、私は……この街にテミスだと思わされていたのだ。
本当の私は……
『アキハバラ』と言う街の名を、アナグラム式に変換した神、
『アラハバキ』だったのだ……
と言う物語を執筆中です!!
ご期待ください!!