「お菓子の家」ならぬ「お菓子の祠」、何とも恐ろしい発想力に震えつつ、読んでみると「その祠を美味しそうに食べる主人公」という更に震える展開!
何より工夫を凝らしているのが、それぞれに違った「味の描写」……いえ本当、ちょっと「祠、食べてみたい」とか生まれて初めて思いましたし、まず他で考えることはないはず。一期一会とは、このこと……?
後編にあたる第二話では、祠食いが更に進化して、何とも驚くべきものも食べちゃっています。一話で確実に引っ張られて、二話まで一気ですので、是非ともご一読いただきたいです……!
……やっぱりタルタロスとかなら、洋食っぽい味がするのかな……じっくり煮込まれている感じがしますし、ビーフシチュー的な……。
味の想像まで楽しい、何とも面白い工夫が多い名作ですよ……!
祠を「壊す」物語は数あれど、祠を「食べる」作品は唯一無二。
森に迷い込んだ「僕」がたどり着いたのは、ヘンゼルとグレーテル的なたべれる「祠」。ヘンゼルとグレーテルでは、バツを受けましたが、果たしてこの物語は……?
祠は、ランドグシャのクッキー、ラズベリー味のマカロンといかにもおいしそう。
主人公が祠を食べていくさまは、ファンタジックかつリアリティがあって、マジックリアリズム文学的。
そして、お菓子の祠=異界という仮説から検証に入る流れは、作者の黒澤さんが得意とするミステリー展開的です。
さて、主人公の置かれた境遇やいかに……?
読まれた方は、かつて味わったことのないテイストを堪能することになるでしょう。
祠壊し文学、種々様々な作品がございますが、
(そんなに詳しくないので恐縮ですが)
本作は祠の呪いをも喰い殺す勢いの、笑いと不気味さが渾然一体となった傑作でございます!
山道に迷い、腹をすかせた主人公がある祠を発見。
それはお菓子でできており、神に感謝しつつ、男は祠を平らげます。
さて、無事に生き延びた主人公は、祠の味が忘れられず、他の祠もお菓子でできているのでは?と考え、検証するために近所の祠に向かいます。
その祠もまた、甘い匂いが……。
気がつけば、またしても祠を平らげてしまう。
主人公はこうして、「検証」を続けていき……。
ありとあらゆるものがお菓子に思えてくる、この設定のメルヘンチックで愉快な部分と恐ろしい部分が、見事に書き表わされております!
こうして生まれたキャラクターが、後の作品「君の『神様』食べさせて」へとつながっていきます!
設定がバチリとはまり、世界観をより楽しめます!
両作合わせて、是非ともお読みください!!!
黒澤主計さんの“君の『神様』食べさせて”がXのスペースで朗読されることになりました。おめでとう御座います!パチパチパチパチ〜
それに合わせその作品の前日譚として、過去作“森の中にて『お菓子の祠』を見つけました”をリライトした作品です。
森の中で道に迷った主人公が見つけた一つの祠、それが何とお菓子(ビスケット)で出来ていた!
お腹を空かしていた彼がその祠を完食してしまった事に端を発したこの物語は、黒澤文学の例に漏れず意外な結末に!
いやはや、読んでいてその展開の奇抜さと豪快さに舌を巻いた。
そして、この話が、作者が意図したわけでもないのに、のちの傑作“君の神様食べさせて”にごく自然に(加筆したとはいうものの)続く形になるとは!
恐るべし、黒澤さんの未来予知能力!
賞を受賞するわけだ。才能の宝庫だ。
雲の上の存在になってもいつまでも仲間でいて欲しい(笑)
そうだ、一つ忠告しておこう。
これ、読む時は飲み物を用意するが良い。
黒澤先生の、過去作を自らリブートさせた作品にございますな。
こうしてみると、なるほど。色々と面白い発見ができるものにございます。
この作品の評価は、他の諸先生方がたくさんされておられるでしょうし、私はまた、別の切り口からこの物語を解体してみたいと思います。
物語は、とある登山中の男が遭難してしまい、飢えて行き倒れる寸前に山に祀られていた祠を見つけ、御供物を頂こうとしたがなんと、美味しい匂いは『祠自体』からすることに気が付き、男は祠の方を食う。
これは流石に罰当たりではないだろうかと日々を悶々と過ごすうちに、男にはある変化が……?
というもの。
これねえ、ここまででもだいぶ気づきがあるんですよ。
まず、これでも黒澤先生の作品はだいぶ読んできた自覚があるのですが、
主人公がちゃんと人間なんですよね 笑
まあ、最終的に人間ではなくなってしまうのではありますが。
それでも、ここまで人間側に寄り添ってくれる黒澤先生というのも珍しいと思ったんです。
それで思い出したのは、原作「君の『神様』食べさせて」もそういえば主人公は人間だったので、黒澤先生が今のスタイルに落ち着いたのはつい最近のことなのやもしれません……。
もう一つ。
黒澤先生の作品は、意外とファンタジーというより、『神』が出てきます。
それが神社であるとか、宗教であるとかして出てきたりし、
(私の中で黒澤先生は実は宮司説があるんですよね……。)
君の『神様』食べさせて、も、もちろん拝読しました。
確かー、食われた人間の中の、『神』に関するものが食われてなくなるというホラーだったと記憶してます。
併せて、ご一読を。
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さて、現在、先生の神社の掃除係を務めております私から皆様に朗報です。
現在黒澤先生は、意表をついてこの物語を、さらにリブートする計画をお持ちのようです!!
このような内容です。
男が、あの入れ歯の怪異になるには実は前日譚があった……
……
……
地獄の亡者を、美味しい美味しいと次々貪る僕に、ついに『終わり』がやってきた。
立っていられないほどの強烈な『眠気』
そうか。これが本当の『死』か……。
目が覚めた僕は、真っ白なシーツで横になっていた。
僕が最初に失ったのは『足』だった。
そうか。これで僕はいわゆる『幽霊』になったんだなあ……
そう考えていたら、
いつの間にかそこにいた、白髪で白衣の男が話しかけてきた。
「目が覚めたかね」
「はい……僕は、本当に幽霊になったのですか?」
「幽霊? 馬鹿を言いなさるな!
君は『糖尿病』だ! 全く信じられん血糖値じゃ!!
何を喰ったらそうなるんだ全く!!
倒れるまで食いおって。足は諦めてもらったぞ!!」
……なあんだ。
幽霊じゃないんだ。
じゃあまだ食べれるじゃん。それじゃあ、いただきまーす……
という物語を執筆中です!!
ご期待ください!!
この物語は主人公が登山中に迷ってしまうところから始まる。森の中を歩いていると、彼はある祠を見つける。それがお菓子であることに気づいた彼はなんと祠が完全になくなるまでそれを食べてしまった。
罪悪感を覚えながらも彼は他の場所にある祠も食べると、身の周りの物がお菓子に変わり始めた……。
始めのほうは身の周りの物がお菓子になるとか最高じゃん!🤩
と思っていたけど、読み進めていくとだんだん恐ろしくなってきました。
ちょっと変な見方かもしれませんが、際限がない欲望を持ち続けるとどうなるか、ということが表現された物語のように感じました。
あなたはついついなにかを食べすぎてしまったり、なにかにはまりすぎて抜け出せなかったりすることがありませんか?
その果ては、この物語の主人公のようになることかもしれません……。