人と馬、共に老いて

冬の帯広、ばんえい競馬場が舞台です。

引退間近の老旗手と、かつて彼の前に幾度となく立ち塞がったライバル馬、アアモンドパイロット。
不敗の栄光を誇ったその憎き相手も、老いには勝てず、次のレースを最後に引退させられることになっていた……。

ばんえい競馬のことは何も知りません。
それでも、読み始めてすぐに、全ての空気を感じ取ることができました。
馬たちの身体から立ち昇る湯気が見えるかのよう。
文章の一つ一つまでよく練られた、素晴らしい短編です。

老いるとは何か。引退とは何か。老境に達した人と馬との心情の重なりが、読み手に深い感慨を与えます。

あっという間に読めますので、ぜひ読んでみてください。

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