概要
はっきりとその記憶を残しているのは、それと戦う力を持っているからだ。
これ以上被害者を増やさないため、そして復讐のため彼女は夜の中を駆けていた。
怪物の名は荒魂(あらだま)。
荒魂に襲われた者は命だけでなく、人々の記憶から記録からも消えてしまう。
消えた人を覚えていられるのは、荒魂を認識できる一部の者たちだけだった。
ある時由美は、戦いの中でひとりの少年を救う。
由美と同じように、眼前で家族を失った少年の名は霧崎 哉太(きりさき かなた)。
天涯孤独となったことを自覚できる彼もまた、由美と同じく戦う力を持っていた。
戦うことを決意する哉太は、
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- ★★★ Excellent!!!人々を救え!日本の新月を舞台に舞う少女のバトルファンタジー!
最後まで読ませていただきました。
こちらは現代日本を舞台に荒魂(あらだま)という敵と戦う高校生の少女、由美が主人公のバトルファンタジー作品です。
そんな由美は、普段から口数が少なく、どちらかというと大人しい主人公で、思っていることもあまり言えなさそうなのですが、物語中に哉太という男の子と出会い、彼女の恋愛模様も描かれ、彼との繋がりから少しずつ成長を遂げていきます。
また彼女らが持つ、特殊能力も作中の中でとても重要に描かれており、日本が誇れるようなクールさを持っています。
和のバトルが好きな方にも刺さるのではないかなと思います。
大きな戦闘の中に、二人の絆、そして恋、様々な結びつきがある作品…続きを読む - ★★★ Excellent!!!賭けるのは、「存在」。己の存在を糧に戦う。
大きな仕事なのに、仕事をした人の存在が認知されないことってありますよね。例えばイルミネーションの配線とか。
でもこれらは仕事人同士はお互いの存在を認識できますし、イルミネーションを見た人は「ああ、こんな素敵な仕事をした人がいるんだ」と想像することができます。
しかし本作の代人というヒーローは違います。彼らの力は「存在」。存在を対価に力を得て、その力で戦います。
力の使いすぎは文字通りの「消滅」を意味します。誰からも存在さえ忘れられる。親にも兄弟にも恋人にも、そんな人間はじめからいなかった、誕生していなかったかのように扱われる。
対する敵は「存在を喰う」荒魂という化け物。こいつに喰われた人…続きを読む - ★★★ Excellent!!!【傑作】ローファンタジー×青春もの
新月の夜、荒魂という怪物が現れて人を食う。
食われた人は存在自体が消えてしまい、人々の記憶からも消されてしまう。
食われるとき、その命は仄青い光を放つ。そんな命の光を幾度も見ている者がいる。荒魂と闘う使命を帯びた者、代人だ。
この物語の主人公、由美と哉太は、その代人の少年少女です。それぞれに心の傷を抱えながら、荒魂を撲滅するために心血を注ぎ、文字通り身を削っています。
引っ込み思案な由美と、物怖じしないが心優しい哉太。対照的な二人は友情を育み、やがて淡い想いを抱いていきます。
鮮やかで分かりやすく、かっこいい戦闘シーンが散りばめられていて、読者を興奮の世界に誘います。バトル好きにはた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新月の夜に、失った者達が描く''失わせない''物語。
新月の夜にのみ現れる、人を食らう怪物──荒魂(あらだま)。
奴らに喰われた人は、存在自体が消えてしまう。家族であろうと愛する人であろうと、皆の記憶から消え、忘却の彼方へと葬られる。
そんな荒魂から人々を守るために新月の夜を駆け、奴らを狩る存在──代人(かわりびと)。土地神の加護を受け、不思議な力を扱う彼らはまさに''人ならざる人''であった。
代人の一人として生きる由美は、己の無力と荒魂への怨嗟を抱え新月の夜を駆ける。しかしとある少年、哉太(かなた)の家族をを''助けられなかった''ことで彼と出会い、そして運命を大きく変えていくこととなる。
美しくも儚く残酷に構築された世界観が現代と物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重い過去にも立ち向かっていく。心に触れるバトルファンタジー!!
荒魂という怪物の特殊性として、荒魂によって失われた人に関する記憶を、生き残った人も失うという要素があるのですが、主人公たちのように荒魂に対抗出来たり認識が出来るレベルだと、記憶を失う事はないという。
この「大切な人を失ったという記憶を忘れられない」ところが、主人公たちにとって辛いところですが、でもその辛さがああるからこそ、立ち向かっていける強さに繋がっているという設定のバランス感覚がすごい!
戦闘シーンは周辺に意識を広げて敵を認知する《調》だとか、自分や周囲に影響する《動》、武器の生成の《造》を切り替えながら使いこなすところ、アクションゲームにしたら面白そうだし、そのような能力を駆使…続きを読む