千崎 翔鶴

幼い頃にわくわくしながら読んだ冒険譚を思い出す、そんなファンタジーでした。 少年は少女と出会い、世界を救うために旅に出る。これはその、はじまりの物語。 勇者と魔王――ファンタジー…続きを読む

星城ユノは元勇者であり、そしてそんな彼女を『推し』として推す一色善太は元魔王である。 そんな因縁の二人であるが、どうやらこの因縁にはもっと根深いものがある様子――？ これぞまさにラ…続きを読む

この世界には、【鍵】というものがある。これは様々な制約がありながら、権力に紐付いてるものである。そしてこの【鍵】は継承される――されるからこそ、主人公のロッテは幽閉されていた。 そ…続きを読む

アライグマである。 そう言われて何を思い浮かべるだろう。狸っぽいとか、外来種だなとか、そんなことだろうか。 さて、そんなアライグマが罠にかかった。というのも神社の社殿を荒らしていた…続きを読む

冒頭の掴みから、マンドラゴラに心を奪われ。あれよあれよという間に出てくる魔物もキャラクターも魅力的愛おしくなり、気付けば心の中で全力で応援してしまう。 そんな物語でした。 失踪し…続きを読む

怪盗は怪盗でも、彼女が盗むのは物ではなくて時間です。親の帰りが遅くて寂しい子供たちの時間を盗んでいく、怪盗ぴよぴよ仮面。 とはいえやっていることは不法侵入……というのを警察官に見ら…続きを読む

世界を滅ぼしかけた『月の結晶石』を体内に封じる天界の姫と、竜使いとが出会う。それこそがこの長い物語の始まりであり、そして世界と運命が動き始める合図でもあった。 世界と大切な人とど…続きを読む

時は2112年。普通の警察官になるはずだったナナキは、〈縁起がいい〉という謎の異能を携えて特殊警察となった。 これは、異能譚なのである。だからといって大規模な怪異に立ち向かうとか―…続きを読む

祖母の死を契機に、幽霊が見えるようになった航。そして彼はその『見える力』を使って、幽霊の過去を知り、そして救う。 そう、彼は見えるだけではなく、幽霊を救うこともできるのだ。 とは…続きを読む

人間は、誰しも秘密を抱えている。何もかもを開けっぴろげにして関係性を築くわけではないのだから、それは当然のことである。 では、高校生の彼らの秘密とは――？ 黒板に誹謗中傷文が書か…続きを読む

旧校舎の第二図書館には幽霊が出る。 この謎から始まる、青春学園ミステリーです。幽霊ということで、そこにホラーもひとさじ垂らし……。 ミステリーであるので、レビューで多くを語ってし…続きを読む

これは、タイトルの通りの祈りの歌である。 あなたに、わたしに、だれかに、ぎゅっと手を握って祈るのだ。 祈ろうと、祈らずと、明日はやってくる。 この歌に何を感じるだろう。 私は、ぎ…続きを読む

これは本当に何気ない、ある一日を切り取ったものである。 本編を読んでいるといっそう「彼らが平和で幸福だ」と実感できますが、これのみでも大丈夫。 朝ごはんを食べ、出かけて、友と語らい…続きを読む

前作『白銀の狼』からの続編となる今作。 前作で無事に結ばれたレティリエとグレイルだったが、再び二人の前には困難が立ちはだかる。しかも今度は二人のみならず、群れの危機でもあり。 二人…続きを読む

現役女子高生アイドルは、『ゲイのおっさん』というペンネームでBL小説を書いていた。 そのファンである男子高校生は、『腐女子のJK』という名前で絵を描いていた。 実はリアルでも顔を合…続きを読む

きょうだいとは、どういうものでしょうか。 仲のいい悪い、そういうものは当然あるだろう。さて、では高久と糺のきょうだいは――？ 本編は読んでおりますので、彼らのこの後は知っています…続きを読む

人狼とは、人と狼のふたつの姿を持つ種族である。 けれど狼でありながら、狼の姿になれない少女、それがレティリエである。 狼といえば、群れの中では厳格なる階級社会。ではその中にあって狼…続きを読む

円満だったはずの政略結婚は、円満ではなかった。政略によってリュネットが嫁いだ相手は、ダルネス子爵。 もちろん政略結婚であり、そこには家の利益がある。けれどその利益すらもなく――リュ…続きを読む

幼い頃に『人魚姫』の物語を読んだことがある。恋のために海から上がった人魚姫は、けれどその恋を成就させることなく泡となって消えてしまうのだ。 そこにあったのは人魚の純粋さだったのかも…続きを読む

愛というものがある。 それは恋愛とかそういうものだけではなく、友愛や親愛や、そういうものを包括した大きなものだ。 シリーズ三部作のラスト、しがらみも絆も、元々は愛であったのだろうか…続きを読む

国が変わりゆく中、少年騎士カートの居候先である魔導士ピアの家に、少女がひとりやってくる。彼女曰く「自分はピアの婚約者」とのことだが、果たして。 この作品は、『いと』の物語である。…続きを読む

戦争にあふれた世界で、戦地で手紙を運ぶ。それがフェンローグという職業である。 従軍する兵士たちも人間であり、当然ながらそこには想いがあり、だからこそ手紙というものは彼らにとって大切…続きを読む

この作品は、タイトルの通りなのです。 勇者様は命を落としました。けれど亡者として起き上がりました。 さて、そんな勇者様の最後の依頼は、何と想い人に告白することで――？ 笑いあり涙…続きを読む

するりと入ってくる読みやすい文章と、あっちもこっちも面白いという文句なしのラブコメディです。 主人公エリザの聖女としての加護は「石を硬くする」というもの。ゆえに付いた2つ名は『堅牢…続きを読む

訳ありなお客様のためのドレスを、今日も妖精と作りましょう――どうですか、これだけでわくわくしませんか。 これは、開国後間もない日本。異国のものが入ってきた、流れるように変わっていく…続きを読む

昨今パワハラだなんだと取り沙汰されるようになりましたが、この作品の主人公もまた、そのパワハラが原因で会社を辞めました。 けれど、神様は見ているもの。心から願う人間を、見捨てたりはし…続きを読む

主人公は木こりです。もう一度言います、木こりです。だから、装備は斧なのです。でもこれ以外の武器はないと言うほど、似合いであるのだと思います。 さて、これぞファンタジーと言うべき要素…続きを読む

この物語は、異形のいる世界での出来事である。主人公の陸奥は異形と出会い、アサヒと出会い、考え、進み、そして最後には彼なりの答えを導き出す。 最初から最後まで、積み重ねられていくのは…続きを読む

マリオネット、操り人形。では断ち切るべき『いと』とは何か。 物語は過去から始まり、そして現在へと続いていく。過去にあったことの上に、今があるからだ。 女王は精霊の声を聞く。精霊の…続きを読む

ここには、人が生きている。白い白い中で、人が生きている。 祝い呪いは氏子のみ。この言葉をどうか胸に刻んで読んでいただきたい。 主人公として置かれているのは高久匡という軍人である。…続きを読む

静かな場所で、男は少女と対峙する。そして、男は語るのだ――自分の、過去を。これまでに何があったのかを。 男は悲劇の登場人物か、あるいは。 男が過去を告げ終えたとき、少女は言う。その…続きを読む

絵というものには、魅入られるものであろうか。 『オフィーリア』『夢魔』『マラーの死』『死の床にあるルイーズ・ヴェルネ』、いずれも名の知れた絵画である以外に、これらの絵にはある種の共…続きを読む

これは、見事なまでのSF的世界観と異世界ファンタジー世界観の融合だろう。どちらが変に主張するでもなく、見事に調和しているのである。 そして、主人公トリアを取り巻くキャラクターたちも…続きを読む

この作品で特筆すべきところは、作者様の豊富な知識と、そして「歌」だろう。 かつて、和歌とは神へ捧げるものであり、人と人とのコミュニケーション手段であったという。歌の上手は神をも動か…続きを読む

どう紹介しようかと考えたときに、浮かんだのは「まず、キャッチコピーが出てくるまで読んでくれ」であった。とにかくまずはそこまで読んで欲しい、全てはそこからだ。 もちろんその前もじりじ…続きを読む

まず何よりも、この二幕構成の妙を讃えたい。前半が終わり後半となり、最初はがらりと話が変わったかのように思える。 けれど、そうではないのだ。読み進めていくごとにパズルのピースがはまっ…続きを読む

人はまず、人を何で認識するだろう。人とどのよいにしてコミュニケーションをとるだろう。 多分、顔だ。けれどもし、それが失われたのなら。誰も彼もがのっぺらぼうになってしまったのなら？ …続きを読む

ある、強大な力を持つものがいたとして。 それを神か化け物かを決めるのは、人間なのかもしれない。人間のある種の身勝手さが、そう決めてしまうのかもしれない。 そこは、貴き神から授けら…続きを読む

メンズバディといえば、どんなものを思い浮かべるだろう。 この作品のバディはまさに正反対、炎と氷、そんなふたりである。そんな彼らはメメントと呼ばれる異形と人知れず戦っていた。 そして…続きを読む

寄り道は、おいしい。まず、読んでいるとお腹がすく。ああこれが食べたいな、そんなことを思う。 今日の帰りは、少し寄り道でもしてみようか。そんな風に。 ああ、これは青春だなあ。そんな…続きを読む

黒は魔物とされる世界。そんな黒い色を持つ魔物を倒そうとしたレンドールの邪魔をしたのは、相棒であり親友のエラリオだった――。 彼らは親友で相棒、その言葉の通りに互いのことをよく知って…続きを読む

青春というのは、爽やかなものという印象がある。もちろん爽やかといっても、すべて楽しいわけではなく、苦さからの爽やかさもある。 この作品は言うなれば、「The・青春」だろうか。 ま…続きを読む

人でなし。 意味としていくつか考えられる言葉である。さてではこのタイトルにある「人でなし」は。この夫婦はどのような「人でなし」であるのか？ そこについては、ぜひ読んで確かめていただ…続きを読む

主人公である彼女の名前は不破ふわり。ひらがなで書けばふわふわり。まさにふわふわの申し子たる彼女は名前の通り、ふわふわなものが大好きである。 さて、そんな彼女が見つけた次なるふわふわ…続きを読む

「サルベイション」という新興宗教――それは、解散したはずの団体だった。過去不祥事により解散したその宗教団体は、主人公である真直とは浅からぬ縁のある団体であった。 そして、そこに載っ…続きを読む

因習というものは、外から見れば禍々しくとも、内にいれば「そういうもの」となる。 初手から、ああこういうものなのだという空気感を突きつけられ、恐怖しながらも真実が知りたくなる。おそら…続きを読む

伯爵令嬢のルシアの前世は、女陰陽師である。そして今世のルシアもまた、その力と五大明王の加護を持っていた――。 そんな彼女は、「お見舞い係」である。お見舞い係というのがどのようなもの…続きを読む

昭和という時代を、知る人も、知らない人も。ここにある空気感をぜひ感じて欲しい。 私はその時代を知らず、平成の話になってから、ああそういえばと想起するものがあった。昭和の時代を知る人…続きを読む

置かれた場所で咲きなさいという言葉がある。 その境遇に、周囲からの目に、負けて腐り落ちるのではなく、それでもと懸命に空を見上げて光に向かって咲こうとすれば、いつかその美しさに気付い…続きを読む

ある意味で、出会いは最悪。けれどこれも列記としたボーイミーツガールである。いわゆる、お約束かもしれない。 ただしこの作品の場合はあるいは無能力者ミーツ天才、これを運命と呼ぶのだろう…続きを読む