少年騎士カートが暮らす魔導士ピアの家に、彼の妹・フィーネが転がり込んでくることで幕を開ける物語。
新たに始まった3人の暮らしは波乱ばかりで……?
前作に引き続き、カートとピアの抱える傷を掘り下げつつ、新たに加わったフィーネに関わる問題を紐解いていくストーリーです。
それぞれの生い立ちから、愛とも呪いとも言える家族の繋がりというしがらみが、丁寧に描き出されていきます。
宮廷内の不穏な動きを追うとともに、徐々に見えてくる各人の心の傷。
心理の動きにリアリティがあり、読み応えがありました。
愛を受けるべき相手から縛られていたせいで、自分も他者を縛ることしかできなくなってしまうこと。
そんな雁字搦めの『いと』を、3人はどのように断ち切り、そして結び直していくのか。
温かな気持ちに包まれたようなラストシーンが清々しい読後感でした。
続編も楽しみです!
前作『マリオネットインテグレーター』の続編にあたるこの物語で、少年騎士・カートと、魔導士であり人形遣い・ピアの家に、一人の少女・フィーネが転がり込んできます。愛情を知らずに育ったフィーネは、自らをピアの婚約者だと名乗り、我を抑えて生きてきたカートの日常を、目まぐるしく変えていきます。
しかし、彼らの疑似家族的な生活は、三人の絆の”いと”を新たに結び直し、そして三人がそれぞれ絡め取られた”いと”を、時に絡まり、時に断ち切りながら、新たな困難に立ち向かう勇気を、丹念に編み上げていきます。
私の推しは、前作に続いてアーノルド。そして、今作初登場のフィーネです。彼女はなかなか、思いを寄せる相手との距離を縮めていけない星のもとに生まれてしまったようですが、カートとのやり取りが微笑ましく、一途で頑張り屋さんな彼女のことをどんどん好きになりました。アーノルドも、真面目なカートに影響されて活躍の場を広げていて、今後がいっそう楽しみなキャラクターです。カートとの友情に、グッとくるシーンもたくさんありました。
前作から登場人物が増えて、賑やかさを増した物語。さらに続編もあるとのことなので、新しい彼らに出会えるのが、今からとても楽しみです。
この作品は続編になるのですが、きちんと独立したテーマを持っていて、前作を読んだ人にも読んでいない人にも楽しめます。
王道ファンタジーながら、単なる冒険活劇ではなく、登場人物それぞれが抱えるトラウマや家族の問題、宿命、といったものがじっくりと描かれています。
そして運命の呪縛を断ち切り、成長していく彼らの姿を目にするうちに、自然に涙が溢れてくると同時にエールを送っている事でしょう!
誰に共感するかは読み手の自由。悪人やライバルにも不思議と魅力があります。
また、この物語の熱烈なファンから寄せられた番外編も合わせて楽しむことが出来ます。どれ程この物語のキャラクター達が読者に愛されているか、お分かりいただけるかと思います。
前作『マリオネットインテグレーター』から続く、主人公カートの物語。
前作でもお馴染みのピアやヘイグ、アーノルドが彼の側でそれぞれの日常を過ごしている姿に、まずファンは喜ぶはず!
前作で明らかになった彼の出自と、新たに加わる人々との絆や拗れた数々の"いと"。
自分を律する事を覚え、優しすぎるほどの少年に襲いかかる運命をどうやって乗り越えていくのか。
胸が締め付けられそうになりながらも、その"いと"を一人一人が前に進み解いていく姿に心を打たれます。
自身の過去を解いて大切にしていきたい存在を守ろうと決意する、そんな其々の場面にきっと皆が救われるはず。
とても魅力的で素敵な物語でした!
前作「マリオネットインテグレーター」から読ませて頂いております。
より面白さを知って頂くためにも、まずは前作から楽しんでいただく事をお勧めいたします。
前作同様に登場人物達にはそれぞれに絡まった「いと」が存在します。
それは時として己自身や周りを操る「糸」として。
またある時には複雑に絡み合い思惑として出てくる「意図」として。
そうして絡み合い、とらわれ動けなくなった人たちがそれぞれに。
あるいは友、仲間、家族によって少しずつそれらを解きほぐしていき、やがてはそのいとをまた撚りながら大切な人たちとの「絆」に変えていくのです。
そしてさらには絆を重ね合わせて大きな優しさや力に変えて自身を、守るべき存在を包み込み、織り重ねて彼らは一歩一歩成長していきます。
操られるのではなく、己の意思で前へ進むこと。
それを知り、周りと共に自らが紡いでいく物語。
皆様もぜひ彼らの成長を見守り、彼らの優しさ、強さに触れてみて下さい。
最後まで読み終わりました。
このお話は前作『マリオネットインテグレーター』の続編となっています。
引き続き主役カートの成長物語となっていますが、その周囲に存在する魅力的な登場人物の成長物語にもなっています。
前作もそうでしたが、最初の登場は皮肉たっぷりだったのに、どんどんと魅力が溢れ、好きになっていく人物が数多くいるのもこの物語の魅力の一つです。
中でも私の推しは『アーノルド』。
読めば必ず彼の魅力にハマる方多数!だと思います。
そして前作に引き続き、テーマ性の強い本作。
読めば必ず自分自身と重ねてしまう点も多くあり、うるっとしてしまう場面も非常に多く、身の回りで絡み合う『いと』を思わず意識してしまいます。
果たして自分はこの『いと』に気が付き過ごしているのか、断ち切ることは出来ているのか。
もしくは絡み合うことを望み、生きていくのか。
どの選択も自分次第。
前に進もうとする時に、そこに気付きを与えてくれ、勇気を与えくれ、背中を押してくれる本作。
紆余曲折な道のりを必死に足掻いて歩こうとする全ての現代人に読んでもらいたい素晴らしい物語です。
前作に続けて読ませて頂きました。
テンポよくさくさく読めるので前作とトータルすると字数は結構ありますがすらっと読めてしまう作品です。
物語が進むにつれ、この作品のキーワードになっている、もつれあった「糸」が少しずつ解けていくように、話が進んでいき、そこから作品に込められたテーマやメッセージが浮き彫りになっていきます。
カートやピアやアーノルドなど魅力的な個性のある人物の秘密や内面が少しずつ明らかになりつつラストに向かってスピード感が増していく構成は、とてもよく練られていて最後までわくわくしました。
主人公のカートの成長も頼もしく見所の一つですが、個人的には母との関係により心の傷を抱えてやってきたフィーネがカートとピアとの生活を通して少しずつ成長していく様が私的にはぐっときました。
みんなに幸せに生きていって欲しいです。
前作「マリオネットインテグレーター」の続編となる本作。
前作同様、糸に絡まるというのはどういうことなのか?糸を断ち切って行動するというのはどういうことなのか?というテーマを読者に投げ掛けており、こちらは前作のテーマをより深掘りした内容になっています。
主人公であるカートはピアと二人で暮らしていましたが、ある日ピアの婚約者と名乗るピアの実妹、フィーネがやってくることで物語は動き始めます。
彼女は「ピアと結婚することが幸せになることだ」という母親の呪縛の糸に絡めとられており、最初からカートとぶつかりあってしまいます。
糸に絡めとられていたのはフィーネだけではありません。
両親の事情や育ての親のしつけによりうまく自己表現ができないカート、そして二人の保護者であるピアまでも、母親の糸に苦しめられていました。
彼らは時にはぶつかり合い、慰め合い、お互いにお互いの存在を受け入れながら少しずつ絡まった糸をほどいていきます。
また、精霊の言いなりになっていたラザフォード国自体も、精霊の呪縛から逃れ、挙兵という大きな決断を下していきます。
テーマは前回同様「運命の糸を断ち切る」こと。前作はこの糸を断ち切る所までで終わっておりましたが、本作ではさらに「断ち切ったその後、自らの意思で決断し行動する」所まで描かれています。
前作からの伏線もうまく張り巡らされており、回収の鮮やかさも見事ですので、前作を読み込んでいる人程、楽しめるのではないかと。
新キャラクターも登場し、読み応えは十分。二作品を通してつづられた、大団円の結末をぜひその目で見届けてください。
前作からの続編となる今作。
主要な登場人物は引き続き登場するのと、物語の緻密な世界観を存分に堪能してもらいたい為、間違いなく前作を読了した上での拝読をオススメする。
引き続き、主人公はカート。
前作で紆余曲折あり、年相応の少年らしさを取り戻しつつあった彼に、新たな人物が波乱を巻き起こす――――。
舞台は異世界ファンタジー。しかし、物語に出てくる人物たちは一様にリアルで、良くも悪くも人間味を感じさせる。
強さ、弱さ、醜さ、汚さ、慈愛、妬み……そんな人間なら誰しも持ち合わせる感情によって、この作品に出る人物たちは、それぞれの物語を紡いでいるのだ。
人生とは美しいものばかりではない。けれどもそれに抗い、懸命に生きようとする姿勢こそが、人間たる美しさであり強さなのだと、私は感じた。
過去に縛られず、前を向き、ただ進む。
そんな風に私たちも、今を生きていきたい―― いや、生きていくのだ。
国を守ってきたはずの水晶木にその運命に翻弄される人々の様子を、どこか淡々とした筆致で描かれていた「マリオネットインテグレーター」の続編。
今作は前作で明らかにされなかったカートの秘密や、ピアの過去が明らかになるとともに、彼らが負う苛酷な運命との対峙が描かれていきます。新たに登場したフィーネ、成長したアーノルドなどが、さらにカートやピアと深く関わることで、前作よりももっと人と人とが関わることで生まれる心の軋み、切なさがとても鮮やかに胸に迫ります。
何と言っても、銀縁眼鏡白衣——! もとい、ダグラスが抱える野望と、何とも複雑な想い。彼の行為は決して許されるものではありませんが、それでも彼もまた世間の「常識」や固定観念にある意味縛られてしまっていたが故に、あんな運命に落ち込んでしまったのかなあとも思えました。
人が本当の意味で自由に生きるとはどういうことなのか、多様性とは、そんなことを考える良いきっかけともなります。
そして何より、辛いことを乗り越えた彼らの最後は大団円のハッピーエンド!
番外編もあるとのことなので、とても楽しみにしております。
マリオネットインテグレーターの続編ということで、楽しく読ませていただきました。操るもの、操られるものと様々の思いが交錯し、複雑に絡んでいく。糸は切れやすく、そこには細心の注意が必要。登場人物の誰もが、誰かのためにと活躍してゆく、その過程で成長や愛情の深さが強くなっていく。
普段、生活していく上では何気なく意識しないで、こういったことがあるけれど、誰かのためにと声高で言ったもの勝ちみたいなことも。本当は誰のためなのかを見極めたい。
これから生き延びて行くには、操られていることは自覚し、操られない覚悟も必要だと改めて思いました。
毎日のワクワクとドキドキをありがとうございました。