「いと」に絡め取られる人々と、解くために前を向く人々と。

 国を守ってきたはずの水晶木にその運命に翻弄される人々の様子を、どこか淡々とした筆致で描かれていた「マリオネットインテグレーター」の続編。

 今作は前作で明らかにされなかったカートの秘密や、ピアの過去が明らかになるとともに、彼らが負う苛酷な運命との対峙が描かれていきます。新たに登場したフィーネ、成長したアーノルドなどが、さらにカートやピアと深く関わることで、前作よりももっと人と人とが関わることで生まれる心の軋み、切なさがとても鮮やかに胸に迫ります。

 何と言っても、銀縁眼鏡白衣——! もとい、ダグラスが抱える野望と、何とも複雑な想い。彼の行為は決して許されるものではありませんが、それでも彼もまた世間の「常識」や固定観念にある意味縛られてしまっていたが故に、あんな運命に落ち込んでしまったのかなあとも思えました。

 人が本当の意味で自由に生きるとはどういうことなのか、多様性とは、そんなことを考える良いきっかけともなります。

 そして何より、辛いことを乗り越えた彼らの最後は大団円のハッピーエンド!
 番外編もあるとのことなので、とても楽しみにしております。

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