概要
平安チャンバラ絵巻 野に咲く菊は九重なりや 秘密と恋と和歌
女性に興味がなくて和歌一筋だった貴晴(たかなり)が初めて惹かれたのは大納言(上級貴族)の姫だった。
だが貴晴は下級貴族だから彼女に相手にされそうにない。
そんな時、祖父が話を持ち掛けてきた。
それは都を騒がせている〝鬼〟の居場所を見付けること。
上手くいけば大納言の姫に相応しい身分になれるかもしれない。
早くに両親を亡くした織子(しきこ)は叔母の家に引き取られた。叔母は大納言の北の方だ。
歌が得意な織子が義理の姉の匡(まさ)の歌を代わりに詠んでいた。
織子が代詠した歌が評判になり匡は若い歌人としてあちこちの歌会に引っ張りだこだった。
ある日、貴晴が出掛けた先で上の句を詠んだところ、見知らぬ女性が下の句を詠んだ。それは大納言の大姫だった。
平安時代初期と中期が混ざっていますが異世界ファン
だが貴晴は下級貴族だから彼女に相手にされそうにない。
そんな時、祖父が話を持ち掛けてきた。
それは都を騒がせている〝鬼〟の居場所を見付けること。
上手くいけば大納言の姫に相応しい身分になれるかもしれない。
早くに両親を亡くした織子(しきこ)は叔母の家に引き取られた。叔母は大納言の北の方だ。
歌が得意な織子が義理の姉の匡(まさ)の歌を代わりに詠んでいた。
織子が代詠した歌が評判になり匡は若い歌人としてあちこちの歌会に引っ張りだこだった。
ある日、貴晴が出掛けた先で上の句を詠んだところ、見知らぬ女性が下の句を詠んだ。それは大納言の大姫だった。
平安時代初期と中期が混ざっていますが異世界ファン
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!美しい雰囲気の古風な物語
平安時代を舞台にして、代詠という風習を軸に織子と貴晴という二人の視点が交互に描かれ、宮廷における恋愛や出世の駆け引きが巧みに表現されています。
時代背景の再現が緻密で、こればかりは執筆力だけではなく知識も必須になってくるため、作者の強力な武器として活躍していました。
平安貴族の文化や官位制度、婚姻事情などが細かく描かれており、当時の社会における価値観や慣習がリアルに伝わってきます。特に、和歌が単なる文学ではなく、出世や恋愛に影響を与えるという設定が物語に深みを与えている印象です。
歌を詠む才能を持ちながらも、自身の名前ではなく他者の名で詠むことを求められる織子の立場が独創的で面白く、社会…続きを読む - ★★★ Excellent!!!かつて歌とは「言霊」であった
この作品で特筆すべきところは、作者様の豊富な知識と、そして「歌」だろう。
かつて、和歌とは神へ捧げるものであり、人と人とのコミュニケーション手段であったという。歌の上手は神をも動かす――と、まあ、そんな話はさておいて。
この作品において、随所に歌が散りばめられている。それこそ、伊勢物語や源氏物語の如く。
それがまた、この作品の雰囲気を完成させていると言えよう。
互いに互いのことを知らないまま、歌だけを重ね。そしてその歌を便りにその人を知る。
とにかく上品で、けれど先が気になる「鬼」や何やら政治に絡んだ不穏な気配。それを辿って行った先、そこには恋の結末もある。
これぞ和風。この雰囲気がまた…続きを読む