全てを乗り越え諦めなかった時、拓ける道はある

世界を滅ぼしかけた『月の結晶石』を体内に封じる天界の姫と、竜使いとが出会う。それこそがこの長い物語の始まりであり、そして世界と運命が動き始める合図でもあった。

世界と大切な人とどちらを選ぶのか。
トロッコ問題にも似た問いかけに、どう答えを出すのか。世界など滅んでも良いから愛する人を生かすのか、それとも愛する人が去って続く世界を踏みしめるのか。
ファンタジー的に言えば王道の問いかけではある。けれど王道とは、人の心を揺さぶるから王道なのだ。
丁寧に描かれた登場人物の心情により、彼らの絶望も希望も間近に見えるようである。だからこそ呼んでいる手は止まらず、彼らの選択を固唾を飲んで見守ってしまう。

王道シリアスファンタジーです。世界という骨子の中、丁寧に丁寧に描かれた人々の想いを見届けてみませんか。
彼らの歩んだ選択の道のりを、共に歩んでみませんか。
ぜひ、ご一読ください。

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