概要
普通になりたいと願いながら、日に日に増していく衝動に苦しむ日々。
そんな舞の前にある日、舞と瓜二つの少女――雪蝶(ゆきちょう)が現れる。
「貴女が、幸せになれる道標を示しに訪れたのですよ」
雪蝶の提案を救済のように感じ、受け入れる舞。
しかしそれは、最悪の絶望への入り口だった――
*・*・
前編「Despair」と後編「Hope」によって紡がれる、約100,000字の物語。
極上の絶望と希望を、あなたに。
*「カクヨムコンテスト10(ホラー部門)」への応募作品です。全47話、毎日更新されます。
*残酷描写(流血等)を多く含みます。また、この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!甘露の味をした絶望。その果てにあるものは。
主人公の舞は、殺害衝動を抱えています。
してはいけないことだと頭では理解していても、その衝動は身体を突き動かそうとするほど。
代替のものの命を奪うことで何とか止めてはいたものの、舞に瓜二つの少女、雪蝶が現れてから一変します。
〈高位の存在〉
自由に命を奪えてしまう存在であり、試練を乗り越えれば舞もそうなれると提案されたのです。
この提案は、衝動に悩む舞にとって蜘蛛の糸のようだったのでしょう。
けれど、それは絶望への入り口でした。
一つ、また一つと与えられた試練をこなしていくうちに、舞の心は壊れていきます。
やがて、その試練の対象は──。
心理描写がきめ細やかで、舞の葛藤などが痛いほどに伝…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そこにあるのは献身か、それともエゴか。
誰もが完璧だと賞賛する舞には、秘密がある。
それは本人にもどうしようもない、殺人衝動だった。
自身が異常者であることを理解し、己の本質を隠し続ける舞。
自分の衝動は汚れていると考える舞は、だからこそ綺麗なものが、同じクラスの雫莉が好きだった。
そして舞にとって、特別な人がもう一人いる。
唯一、自分の本性を知る夏野先生だ。
献身的に彼女を受け入れる夏野先生に、安らぎを覚える舞。
そんな狂気と正気の中で、彼女の目に赤黒い蝶が現れた。
舞が追いかけると、そこには、自分とそっくりな女の子がいた。
「雪蝶(ゆきちょう)」と名乗る少女は、自分が「誰のことでも自由に殺すことができる」〈高位の存在〉であ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『異端』と『異端』が交錯する時、少女たちは何処へと向かう?
序盤からとにかく、「何かすごいことが始まりそう」という雰囲気いっぱいの作品です。
一言で言えば、『オーラがある』と表現するのが正しいでしょう。
主人公である舞。彼女はある抗いがたい『業』を内に秘めていた。
生き物を殺すことが楽しくてならない。その瞬間にだけ心が激しく満たされ、まずいことだと思いつつも激しい衝動に駆られてしまう。そうして時折小さな虫を殺すなどして、どうにか自分自身の衝動に折り合いをつけていた。
そんな彼女の前に、ある時『一人の少女』が姿を現す。雪蝶と名乗る彼女は、無数の赤黒い蝶の群れと共に姿を見せると、舞に対して「これから試験をする」と口にする。
その試験に合格…続きを読む