間章二
07
二回目の舞台は向日葵畑だった。
眩しい黄色と優しい緑色が広がる世界は、真っ青な空に覆われている。雪は一回目のように片手剣を持っていて、視線の先には一人の少女がいた。
長い黒髪を低い位置でツインテールにした、目鼻立ちのはっきりした少女だ。彼女は両手で大きな斧を持っていて、雪を睨み付けている。
先に動き出したのは、少女の方だった。
雪との距離が詰まっていく。静止している雪に、少女は勝利を確信したのか口角を上げて、斧を振りかぶった。
――――雪は、そっとそれを避けた。
余りにも無駄のない動きだった。少女の斧は向日葵を真っ二つに裂いた。黄色の花弁と茶色の種がばらりと散らばる。少女の目が見開かれた。
雪はすぐに少女の後ろに回り込み、片手剣で背中から心臓を一突きにした。
片手剣を引き抜くと、雪は返り血で赤色を帯びた。少女は両手で胸を押さえながら地面に転がって、苦しそうにもがく。そんな少女を、雪は冷めた目で見つめていた。
少女は憎々しげに雪を見て、口から血液と一緒に言葉を漏らす。
「…………ひ、と…………ごろ、し…………」
雪はきょとんとした顔をしてから、
「……貴女も一人、殺したんでしょう? お揃いですね」
少女の瞳から涙が伝う。悔しさからか、罪悪感からか、それともまた別の感情なのか、雪にはわからなかった。でも別に、興味もなかった。
「…………くる、って…………る…………」
「そうですね。貴女の言う通りですよ」
少女はもう、雪の言葉には答えなかった。
雪はほのかに笑う。
自分が想像していた通りの異常者であったことに、安堵していた。
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