概要
――化生が隠し、化生が捜す。
高校二年生の雲居(くもい)仄香(ほのか)は、冬の日の学校からの帰路にふと呼び止められる。人ならざる美しさを持った不思議な雰囲気のそのひとは、
「人を、お捜しなのではありませんか?」
仄香へと問い掛け、一枚の小さな紙を渡す。目の前のひとは気づけば忽然と消えていて、仄香の手には簡易な地図が載る紙が残るのみだった。そこには一文、
――失せ人、捜します。
チラシめいた一枚の紙を、仄香は翌日の学校の帰り道に思い出す。およそ一週間前に異父弟である雲居悠希(ゆうき)が行方不明になった。手掛かりは何もなく、捜査に進展はない。実母、義父、異父弟、そして己からなる家族に思うところのある仄香は、異父弟を心配しながらも、自宅に居心地の悪さを感じていた。それは異父弟を案じきれない罪悪感によるものも含み
「人を、お捜しなのではありませんか?」
仄香へと問い掛け、一枚の小さな紙を渡す。目の前のひとは気づけば忽然と消えていて、仄香の手には簡易な地図が載る紙が残るのみだった。そこには一文、
――失せ人、捜します。
チラシめいた一枚の紙を、仄香は翌日の学校の帰り道に思い出す。およそ一週間前に異父弟である雲居悠希(ゆうき)が行方不明になった。手掛かりは何もなく、捜査に進展はない。実母、義父、異父弟、そして己からなる家族に思うところのある仄香は、異父弟を心配しながらも、自宅に居心地の悪さを感じていた。それは異父弟を案じきれない罪悪感によるものも含み
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!繋いだ縁が春を呼ぶ
ある、冬の日。
雲居仄香の異父弟である雲居悠希が行方不明になった。進展のないまま1週間、彼女が手にしたのは一枚の小さな紙。
失せ人、捜します。
その言葉に導かれるようにして、仄香は『からすのねどこ』にたどり着く――。
この作品の季節は冬です。そして、仄香もまた、冬の最中にいました。
人が隠される神隠しを辿り、仄香は人とも、化生とも、縁を繋いでいきます。
それから、不思議な影法師。
彼女は実父の面影を思い出しながら、少しづつ、少しずつ、冬の終わりに向かっていくのです。
あるひとつの愛を見ました。
いくつもの紡がれた縁を見ました。
彼女のたどり着いた冬の終わり――春に、あなたもたどり着いてみ…続きを読む