概要
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海に住むひとりぼっちの人魚エレオノーラは、いつか人間になって恋をした相手と結ばれることを夢見ていた。
エレオノーラが恋をするのはこの国の王子であるエドワルド。だが、エドワルドの側近であり護衛を務めるギルバートとは仲が悪く喧嘩ばかりの毎日だった。
ある日、嵐に巻き込まれてエドワルドとギルバートの乗った船が転覆してしまい、彼らを助ける為にエレオノーラは人間になる薬を飲む。
人間になる薬の条件は、一年以内に想い人と結ばれること。それができなければ泡になり、そして人魚に戻りたければ想い人を殺すこと。
人間の世界に住むことになったエレオノーラは、大嫌いなはずのギルバ
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ハッピーエンドの人魚姫
童話をモチーフにした異種族恋愛譚です。
「人魚姫」のあらすじをなぞりつつ、そこに貴族社会の煩雑さや王子の側近の存在、主人公を助けてくれる仲間たちといった原作には無い要素が混ざり合い、最後には全く知らない結末へとたどり着きます。
そのストーリーラインがとても自然で素晴らしかったです。
人魚姫が王子を想い続けた末に真実を明かさないまま泡となって消えてしまった点や、王子が自身の勘違いに最後まで気付かなかった点など、童話を読んでいて引っ掛かる様々な部分が綺麗に書き換えられており、タグにある通りハッピーエンドの物語として楽しむことができました。
初恋の男の子に焦がれた人魚姫が、複雑な人間関係の中…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『人魚姫』を読んだ頃の気持ちを昇華してくれる素敵な恋愛小説
誰もがしってる『人魚姫』の結末に、誰もが一度はモヤモヤしたのではないでしょうか。宗教観の違いがあるとわかっていても、わたしは未だに泡になってしまった人魚姫をハッピーエンドだと解釈できてません。
そんな個人的に複雑なおとぎ話を、こちらの小説が素敵な素敵なハッピーエンドに導いてくれました。
まず第一に、出会いが怪我をした人魚エレオノーラが人間に助けれるというところから、作者様がどれだけ丁寧に『人魚姫』を扱っているのかうかがい知ることができるので、こんな駄文レビュー読んでないでさっさと本文を読んでほしい。
わたしはまだ結月花様の作風を語るほど読んでいないのですが、環境や立場などを対比させつつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!可愛く美しい人魚姫、その優しい強さが奇跡を起こす
子供の頃、御伽話は好きでしたか?
Yesと答えた皆様は、今もおとぎ話に不思議と胸をときめかせるのではないでしょうか。
きっとそれは、御伽話が子供だけのためのものではなく、優しさや、勇気や、そんなたくさんの大切な気持ちをくれるからだと思います。
でも少し切ない御伽話もあります。その一つは、皆さんもきっと大好きな「人魚姫」。
王子に恋し、悲恋の最後を遂げる彼女は、愛するからこそ身を捧げます。
そんな人魚姫のお話をベースにしつつも、魅力的なファンタジーが紡がれていくのがこのお話。
元気いっぱいで、とても素直で優しい人魚姫のエレオノーラ。そして彼女と出会った、暗い背景を持つ一人の騎士。
人の気…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悲劇から生まれ変わるおとぎ話
人魚のエレオノーラは王子様に恋をしていました。
王子とその護衛であるギルバートと交流していく中で、恋と陸上への憧れを募らせていきます。
そして彼らを助ける為に人間の姿になったエレオノーラは、代償として期限以内に愛する人と結ばれなければ泡となってしまう契約を帯びてしまいました。
初めての人間の世界に可愛い反応をして、新鮮な日々を送るエレオノーラ。
しかし徐々に憧れだけではない現実を知り、辛い出来事を経験します。恋愛の醜さや痛み、生々しい人間の姿が描かれています。
自分より相手の幸せを優先する気持ちからくるすれ違いは切なくもどかしく、感情移入して二人を応援したくなります。
そして終盤の驚きの展…続きを読む - ★★★ Excellent!!!泡沫に還った人魚姫と傷つけられた幼心を救ってくれる、優しい物語
恋。切なくて、でも、尊いもの。
この物語には、その恋の全てが描き出されています。
書き手の結月花さんは、代表作「白銀の狼」を始め、恋愛物語を数多く執筆されています。
魅力は緻密な心理描写と、テンポのよい展開運び、そして健気でひたむきな主人公。
本作でもその魅力は大いに発揮されています。
こちらの物語は、有名な童話である「人魚姫」を下地にして、結月さんの魅力をふんだんに盛り込んで作り変えられた新しい物語です。
安心していただきたいのは、この物語はタグにもあるように「ハッピーエンド」で終わるということです。
私は幼いころ、人魚姫の悲しい結末がどうしても辛くて、家にあった童話のうち人魚姫だけは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!キラキラ溢れる泡沫は、消えゆく恋か永遠の愛へと変わるのか
『むかしむかし、遠い海の水底に、それはそれは美しい人魚の姫がすんでおりました』
誰もが一度は耳にしたことのあるであろう、人魚姫の物語。
その名作をベースに、新たな美しい海と陸の恋物語がここに展開されてゆきます。
主人公のエレオノーラは、まるで海の底にまで光がパッと広がりそうなほど、可憐で明るい人魚の女の子。彼女は幼い頃に助けてくれた男の子が忘れられず、その時に出逢った王子様に恋をしています。
彼が海辺にやってくる日を待ち望んでいるエレオノーラ。王子には必ず少し口うるさい意地悪なギルバートがついていて——。
陸に憧れ、恋に憧れ、愛される日を夢見るエレオノーラ。
彼女達の日常は、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新訳・人魚姫。この恋は果たして成就するのか。
海に住むひとりぼっちの人魚・エレオノーラは、幼い頃に恋した人間と結ばれることを夢見て、人間になる薬を飲む。
薬の期限は、たったの一年。その間に恋が成就しなければ、身体は泡となって消えてしまう。消えずに人魚へ戻るためには、想い人を手に掛けなくてはならない――。
有名な童話『人魚姫』をベースにして、恋愛小説の名手である作者様によって綴られた、人魚と人間の恋物語です。
エレオノーラは、かつて人間に捕らえられたところを救ってくれた王子・エドワルドに想いを寄せますが、薬で人間の身体を手に入れてからは、王子の側近であり護衛を務める男・ギルバートと暮らすうちに、少しずつ気持ちに変化が生まれます。
読み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人魚と人を隔てるものは身分や種族だけなのか
海の中から愛する王子を見つめる人魚。
誰もが知っているであろう『人魚姫』の童話。
そして誰もが知りうる通り、童話は悲しい恋と共に泡となり消えていく結末を迎えます。
ではこちらの主人公は?
可愛らしい天真爛漫な人魚のエレオノーラ。
彼女も同様に憧れと恋心を王子様へと抱いていきます。
きらきらと光り輝く海の世界が鮮やかに美しく描かれる中、彼女もやはり人となり王子の傍にありたいと願い、その術を手に入れていきます。
人間の足を、自らで陸を歩くことを手に入れた彼女は同時に知っていくのです。
陸での自らの立場、限られた時間。
綺麗だと思っていた世界は、角度によって暗い影をも含んでいるのだということを。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!おとぎ話をなぞった恋物語と思いきや! ギミックの見事さに脱帽です。
「人魚姫」の物語は誰もがご存じでしょう。ですので、タイトルを見て「ああ、それがモチーフのラブストーリーね」とお思いでしょう。そこのあなたも。
ですが、それを大いに裏切ってくるのが本作です。しかも素晴らしい方向に!
人魚姫の設定を最大限に生かしながら、それにストーリーの基盤をもひっくり返すような新解釈=ギミックをも加えて、大団円に持って行く筆者の力業に、思わず読んでいて鳥肌が立ちました。
加えて、場面場面、キャラというキャラに、無駄なものがないのがさらに凄い。
後から読み返してみれば、すべての場面にきちんと意味があるし、キャラにはすべて伏線が張られてるし。それでいてストーリーが説明調にならず、…続きを読む