童話をモチーフにした異種族恋愛譚です。
「人魚姫」のあらすじをなぞりつつ、そこに貴族社会の煩雑さや王子の側近の存在、主人公を助けてくれる仲間たちといった原作には無い要素が混ざり合い、最後には全く知らない結末へとたどり着きます。
そのストーリーラインがとても自然で素晴らしかったです。
人魚姫が王子を想い続けた末に真実を明かさないまま泡となって消えてしまった点や、王子が自身の勘違いに最後まで気付かなかった点など、童話を読んでいて引っ掛かる様々な部分が綺麗に書き換えられており、タグにある通りハッピーエンドの物語として楽しむことができました。
初恋の男の子に焦がれた人魚姫が、複雑な人間関係の中で自分の気持ちに気付いてゆく過程も、丁寧で惹き込まれます。
新しい「人魚姫」の結末を、ぜひ見届けてください。
誰もがしってる『人魚姫』の結末に、誰もが一度はモヤモヤしたのではないでしょうか。宗教観の違いがあるとわかっていても、わたしは未だに泡になってしまった人魚姫をハッピーエンドだと解釈できてません。
そんな個人的に複雑なおとぎ話を、こちらの小説が素敵な素敵なハッピーエンドに導いてくれました。
まず第一に、出会いが怪我をした人魚エレオノーラが人間に助けれるというところから、作者様がどれだけ丁寧に『人魚姫』を扱っているのかうかがい知ることができるので、こんな駄文レビュー読んでないでさっさと本文を読んでほしい。
わたしはまだ結月花様の作風を語るほど読んでいないのですが、環境や立場などを対比させつつ、複雑な人間関係をわかりやすく書かれるのが、本当に見事です。
自由な海でのびのびと生きてきたエレオノーラにとって、しがらみだらけの人間社会なんてファンタジーであっても苦労するのはわかりきったことで、人間の生き方を学びながら、勘違いすれ違い大切な人のピンチを乗り越えていく(それもタイムリミットあり)ので、読み応えも充分!!
ところで、この素敵な『人魚姫』は、ヒーローも奮闘するのも見どころかと思います。
そして、エレオノーラと同じ「相手を想うあまり身を引いてしまう」ほどの海のような深い気持ちがあったからこそ結ばれたハッピーエンド!!
ぜひご一読ください。
子供の頃、御伽話は好きでしたか?
Yesと答えた皆様は、今もおとぎ話に不思議と胸をときめかせるのではないでしょうか。
きっとそれは、御伽話が子供だけのためのものではなく、優しさや、勇気や、そんなたくさんの大切な気持ちをくれるからだと思います。
でも少し切ない御伽話もあります。その一つは、皆さんもきっと大好きな「人魚姫」。
王子に恋し、悲恋の最後を遂げる彼女は、愛するからこそ身を捧げます。
そんな人魚姫のお話をベースにしつつも、魅力的なファンタジーが紡がれていくのがこのお話。
元気いっぱいで、とても素直で優しい人魚姫のエレオノーラ。そして彼女と出会った、暗い背景を持つ一人の騎士。
人の気持ちは難しいもので、正直にあればいいと周りが許してくれないこともあるし、誤解が重なってしまうこともある。
想いながら抑えて、葛藤に苦しみながらも相手の幸せを願う二人。
二人がお互いに愛おしいと思い合う気持ちが、ひしひしと伝わってきます。
おとぎ話の雰囲気に浸りつつも、おとぎ話には欠けている不穏で危険な場面、切ない恋心、複雑に絡み合う感情が錯綜します。
試練を抜けて、幸せになれるのでしょうか。
彼らの正直な気持ちは、きっと救いをもたらすと信じて見守りたくなる、そんなお話です。
そして彼らの幸せは、彼らだけのものではなく……
古く伝説と化したように見えても、生き続ける想い、その存在にも注目していただきたい(と個人的には思って読みました)
レビュー・タイトルには、彼女と出会った「彼」の変化も込めて……
さらに! 番外編も読んでください!
彼らの日常が優しい空気の中で見えて、読んでいてふふっと笑ってしまいます。
するすると読みやすくありながら、豊かな表現でしっかりした筆致で綴られていく世界です。
どうぞどなた様も、この海辺の王国の一人になって彼らを見守りましょう。
人魚のエレオノーラは王子様に恋をしていました。
王子とその護衛であるギルバートと交流していく中で、恋と陸上への憧れを募らせていきます。
そして彼らを助ける為に人間の姿になったエレオノーラは、代償として期限以内に愛する人と結ばれなければ泡となってしまう契約を帯びてしまいました。
初めての人間の世界に可愛い反応をして、新鮮な日々を送るエレオノーラ。
しかし徐々に憧れだけではない現実を知り、辛い出来事を経験します。恋愛の醜さや痛み、生々しい人間の姿が描かれています。
自分より相手の幸せを優先する気持ちからくるすれ違いは切なくもどかしく、感情移入して二人を応援したくなります。
そして終盤の驚きの展開から、更なる仕掛けはカタルシスをもたらしてくれました。
美しい海と愛情、甘く優しいハッピーエンドが待っています。
恋。切なくて、でも、尊いもの。
この物語には、その恋の全てが描き出されています。
書き手の結月花さんは、代表作「白銀の狼」を始め、恋愛物語を数多く執筆されています。
魅力は緻密な心理描写と、テンポのよい展開運び、そして健気でひたむきな主人公。
本作でもその魅力は大いに発揮されています。
こちらの物語は、有名な童話である「人魚姫」を下地にして、結月さんの魅力をふんだんに盛り込んで作り変えられた新しい物語です。
安心していただきたいのは、この物語はタグにもあるように「ハッピーエンド」で終わるということです。
私は幼いころ、人魚姫の悲しい結末がどうしても辛くて、家にあった童話のうち人魚姫だけは一度読んだきり封印してしまっていました。
幼いときにつけたままだった傷を、この物語に救っていただけたような気がします。
陸の世界と触れ合って、恋を知った人魚姫。
二人の男性、恋敵、支えてくれる人、そして海の仲間たちに囲まれた彼女が行きつく先は——?
この先は、ぜひ作品でお確かめください。大人も楽しめる味わい深い恋愛物語。大変お勧めです。
『むかしむかし、遠い海の水底に、それはそれは美しい人魚の姫がすんでおりました』
誰もが一度は耳にしたことのあるであろう、人魚姫の物語。
その名作をベースに、新たな美しい海と陸の恋物語がここに展開されてゆきます。
主人公のエレオノーラは、まるで海の底にまで光がパッと広がりそうなほど、可憐で明るい人魚の女の子。彼女は幼い頃に助けてくれた男の子が忘れられず、その時に出逢った王子様に恋をしています。
彼が海辺にやってくる日を待ち望んでいるエレオノーラ。王子には必ず少し口うるさい意地悪なギルバートがついていて——。
陸に憧れ、恋に憧れ、愛される日を夢見るエレオノーラ。
彼女達の日常は、事件によって一変。夢にまで見た地上は、海の中のそれとは違って様々な思念が渦巻いていることを知ることになる。
人魚姫といえば悲しい結末を思い浮かべる人が多いはず。
ただこの作品は、とにかくヒロインの健気で可愛い姿に元気や笑顔をもらったり、突然海の生き物が陸に上がればそうだよね……という場面を丁寧に描写していたりと、全く新しい人魚姫の物語。想い合うがゆえにすれ違ってしまう二人にもどかしい気持ちになりつつも、ラストの展開に繋げる筆力は本当にお見事……!!
読んでいるこちらも、きっと大丈夫、きっと大丈夫と信じて次のページをめくってしまうような、不思議な力がこの二人にはあるのです。
キラキラした恋心や、情景の美しさが眼に浮かぶような、まるで美しいサンゴ礁の中に寝そべっているような気持ちになれる物語。
その恋心は弾けて影すら残してもらえない泡沫と消えるのか、それとも永遠に輝き続ける宝石のような愛へと変化していくのか。
是非ともご一読あれ!!
海に住むひとりぼっちの人魚・エレオノーラは、幼い頃に恋した人間と結ばれることを夢見て、人間になる薬を飲む。
薬の期限は、たったの一年。その間に恋が成就しなければ、身体は泡となって消えてしまう。消えずに人魚へ戻るためには、想い人を手に掛けなくてはならない――。
有名な童話『人魚姫』をベースにして、恋愛小説の名手である作者様によって綴られた、人魚と人間の恋物語です。
エレオノーラは、かつて人間に捕らえられたところを救ってくれた王子・エドワルドに想いを寄せますが、薬で人間の身体を手に入れてからは、王子の側近であり護衛を務める男・ギルバートと暮らすうちに、少しずつ気持ちに変化が生まれます。
読み心地は、ほんのりビター。されど、次第に本当の気持ちに向き合っていくエレオノーラと、人間の世界に馴染もうとがんばる彼女を支えるギルバートの眼差しが温かく、一人ではなく二人で幸せを掴みにいこうとする力強さが、恋の甘さをじんわりと読者に伝えます。
じれじれの恋、すれ違いの恋がお好きな方におすすめです。
海の中から愛する王子を見つめる人魚。
誰もが知っているであろう『人魚姫』の童話。
そして誰もが知りうる通り、童話は悲しい恋と共に泡となり消えていく結末を迎えます。
ではこちらの主人公は?
可愛らしい天真爛漫な人魚のエレオノーラ。
彼女も同様に憧れと恋心を王子様へと抱いていきます。
きらきらと光り輝く海の世界が鮮やかに美しく描かれる中、彼女もやはり人となり王子の傍にありたいと願い、その術を手に入れていきます。
人間の足を、自らで陸を歩くことを手に入れた彼女は同時に知っていくのです。
陸での自らの立場、限られた時間。
綺麗だと思っていた世界は、角度によって暗い影をも含んでいるのだということを。
そしてそれを知りながらも、真っ直ぐな心と人を思う優しさで彼女は自らの決断と行動で前へと大切な人を守るために一歩また一歩と進んでいくのです。
そんな彼女の思いは届くのか。
恋を叶え、愛する人の隣で微笑むことが出来るのか。
ぜひその彼女の決断の行き先を、あなたに知ってほしいと思うのです。
「人魚姫」の物語は誰もがご存じでしょう。ですので、タイトルを見て「ああ、それがモチーフのラブストーリーね」とお思いでしょう。そこのあなたも。
ですが、それを大いに裏切ってくるのが本作です。しかも素晴らしい方向に!
人魚姫の設定を最大限に生かしながら、それにストーリーの基盤をもひっくり返すような新解釈=ギミックをも加えて、大団円に持って行く筆者の力業に、思わず読んでいて鳥肌が立ちました。
加えて、場面場面、キャラというキャラに、無駄なものがないのがさらに凄い。
後から読み返してみれば、すべての場面にきちんと意味があるし、キャラにはすべて伏線が張られてるし。それでいてストーリーが説明調にならず、キャラも立っているという。もう、読み終えた今はヤラレタ感でいっぱいです!
思わず、アンデルセンも草葉の陰で感涙にむせぶレベルの名作。
見事におとぎ話を昇華した胸熱なラブストーリーに、やられちゃってください……!
王子様に恋をする人魚姫。その恋の結末は…
誰もが知るおとぎ話をなぞりながら語られるこのお話は、人魚の女の子エレオノーラの恋心と共に時に道から外れたり、また戻ったりしながら進んでいきます。
その一進一退にどきどき、はらはらさせられる内にどんどん読めてしまうのですが
しかしある時、私達はエレオノーラが、ただ単に人魚姫の物語をなぞっているのでは無いことに気付かされます。
既存の物語のあり方を活かした構成が非常に巧みで見事です。
物語の結末は予想外さに溢れ、一気読みしてしまいました!
健気さあふれる人魚のエレオノーラ。
そんな彼女の恋は、おとぎ話と同じ結末を辿ってしまうのでしょうか。
その恋の結末を、是非もっと多くの方に結末を見届けてほしいと思います。
──H. C. Andersen.
世界有数の童話作家である彼の綴った人魚姫の物語が、こうも化けようとは誰が想像できただろうか。
──本作のヒロイン、人魚姫のエレオノーラが想いを寄せるのは王子エドワルド。身分故に頻繁に会うことは叶わず、会えたとしても王子の護衛であるギルバートと口喧嘩を繰り返してしまう。
そんな他愛のない日常、微笑ましいやり取りに心暖まったりもしますが、それだけでは終わらないのです。
──人魚が人として陸へ上がれるのは一年だけ。そしてその一年の間に愛した人と結ばれなければ、人魚は泡となり人々の記憶からも消えてしまう──
そんなリスクを承知で陸へ上がったエレオノーラを待ち受ける数々の出来事。
純粋な想いだけではどうにもなら無いと理解した彼女が何を思い、自らの心にどう向き合っていくのか。
──それを知りたければ、本作品を最後まで読んで頂きたい。
もどかしく辛い場面もあるだろうが、それもまた重要なのだ。
口に出さなければ伝わらない、彼らの純粋な想いをご賞味あれ──
『結月 花』さんが得意とするファンタジーを基盤とした世界で情熱的な恋模様。本作はアンデルセン童話『人魚姫』を下地にした人魚と人の物語です。
深き海の中を泳ぐ孤独な人魚姫『エレオノーラ』は過去に自分を助けてくれた王子の『エドワルド』に恋焦がれていました。しかし自分は人魚、彼は王子、偶にしか会うことが出来ず、会うたびに王子の護衛を務める青年『ギルバート』が厳しい言葉を彼女に投げて喧嘩をしてしまう。
変わらない毎日、エドワルドと結ばれたいと願い、日に日に人間の世界への興味が強まるエレオノーラ。想いの強さゆえに遂に彼女は人間になれる薬を手にします。
海の生物たちに古くから伝わる人魚姫の物語、王子様に恋をした人魚姫は人間の足を手に入れて海から飛び出したが、王子様とは結ばれず泡となって消えてしまった。
想いが叶わなければ泡となる、その代償を知りながらもエレオノーラは薬を受け取り、とある出来事を切っ掛けに人間となり、匿ってくれたギルバートの下で人間として生活していくことになります。
序盤から書かれる美しい海の情景に目を奪われ、エレオノーラ達の和気藹々とした語り合いに心を和ませ、やがて物語の湿度は高まり、読者の心に鋭いメスを突き付けてきます。
恋に憧れたエレオノーラが体験するのは、綺麗な想いだけではどうすることもできない身分の違いとルール。それは嘘偽りの無い現実であり、彼女ではどうすることもできない事実でもあった。
足が止まり涙を流すエレオノーラ、そんな彼女を優しく支えたのは、真面目でぶっきらぼうな彼の存在。彼を知り彼と触れ合う中で――人魚姫は本当の恋を知る。
エドワルドと結ばれるために人間のルールを学ぶエレオノーラ、そんな彼女をぶっきらぼうながら支え見守るギルバート、王子としての使命を貫くエドワルド。
童話『人魚姫』が張り巡らせる多くの謎、物語の攻勢が本当に巧みであり、そして綿密に作られた彼女達のすれ違いがお見事としか言えません。
すれ違い、そう、すれ違うんです! とにかく絶妙なタイミングで皆がすれ違います。悪意によってではなく善意によって、彼女達の視線はギリギリの所で交わりません。想い合っているのに……好きなのに。
こんなにものめり込んでしまうのは、エレオノーラを含む登場人物達がとても魅力的だからでしょう。
美しく可愛く優しさに溢れる、人魚姫のエレオノーラは本当に好きになる主人公です。
ここに新たなる傑作が誕生しました、
脳も心臓も、体の全部が揺さぶられる『御伽噺』。おすすめの作品です♪ 是非一度読んでみてください。
人魚姫をモチーフにした恋愛ファンタジーです。
人魚のエレオノーラと、彼女が恋した王子エドワルド。王子の側近ギルバートとは顔を合わせれば口喧嘩するほど仲が悪い。そんな二人が嵐に遭い、彼らを助けるためにエレオノーラは人間になって――。
エレオノーラは子供の頃にキスしてくれた彼をずっと思い続けているのですが、恋が成就しないと泡になって消えてしまう。そしてその期限は1年。
1年の間に人間社会のことを知り、エドワルドとの恋の障害に気付き、ギルバートの不器用な優しさを知っていく。
恋のライバルも出てきて気持ちが揺れ動くなか、自分の運命を突き付けられる出来事も起こり、終始ドキドキハラハラと胸が騒がしいです。(いい意味で)
山あり谷ありの、障害があるからこそおもしろい! 優しいだけじゃない世界で頑張るヒロインだからこそ、エレオノーラを応援したい。そんな恋のお話がここにあります。
甘々溺愛だけじゃなく、恋のつらさや現実の厳しさがのし掛かるから、きっと彼らの恋が成就したときには感動するのでしょう。
エレオノーラのいのちをかけた愛の物語。彼女が結ばれるのは王子か側近か。
しんどい恋愛(ハッピーエンドはお約束)もっと流行れ!
誰もが知る物悲しい童話『人魚姫』――その言い伝えが残る世界に生きる、人魚の女の子のお話です。
私たちの世界ではハッピーエンドをつかむ人魚姫のお話もありますが、彼女の世界に伝わっているのは、王子に恋をしても報われることなく泡となって消えた人魚姫の悲恋のみ。そのことを知りながらもやはり、彼女は王子様に恋をしてしまうのです。なんだかもうここからしてちょっと切ない。
しかしひとつの事件をきっかけに、なんと人魚――エレオノーラは、王子様と直接会話ができる関係になります。彼の護衛騎士であるギルバートと共に3人は幼なじみとして季節を過ごし、全員が立派な男女へと成長していきました。するとやはり強く芽生えるのは、先へと進みたくなる恋心。
人魚から人間になる方法は存在し、実際に彼女は人間の世界へと旅立つことになりますが、それは御伽噺と同じく高いリスクを伴う行為。恋を成就させねばならない期限は、たったの一年です。ギルバートの助けを得て人間としての生活を必死にこなすエレオノーラの健気さは、どの場面も転がり回るほどかわいいのですが……。人間の世界は不穏と苦労が渦巻いていて、なかなかうまくいかないことばかり。
そして王子様に恋をしているはずなのに、近くで支えてくれるギルバートのことも意識するようになり、エレオノーラはあれほど夢見ていた“恋”の本当の苦さを知っていくようになります。ううん、切ないっ……!
丁寧な導入に美しい文章、そして繊細なひとの心を綴ってくれる、まさに真珠のようにさまざまな艶めきをもったお話。この恋の結末はあらたな御伽話となるか、それとも……?いよいよお話も大詰めで楽しみです!がんばれエレちゃん!
人魚姫といえば、知らない人はいないだろうという有名なアンデルセン作の童話。その物語をさり気無く下敷きにしつつも、新しい恋の物語が描き出される本作。
エレオノーラは純粋で素直な透明感のある女の子。まっすぐ純情で、何処か寂しがり屋。そんな彼女が幼い頃大けがをした際のキスの相手……に恋をする。
その恋もまた真っすぐな彼女。お相手は王子様。その恋を由としないのが、王子様の護衛ギルバート。
王子という立場に縛られる優しいエドワルド王子、王子を護る事をすべての優先順位を置くギルバートだけどその心の奥底には……。そして無知だったかつての人魚は、人間界の暗部やしがらみを知り苦しんでいく。
人間になる薬を飲んでしまった彼女の、タイムリミットは1年。
繰り返される人魚姫の悲劇から、エレオノーラは抜け出す事ができるのか。
頑張り屋さんの人魚姫を応援したくなる、ちょっとしんどい系恋愛ストーリー。この切ない恋の結末を見届けよう。
麗しく、天真爛漫な人魚――エレオノーラ。
でも彼女は、一人ぼっちだった。その心の隙間を埋めるように、いつしか彼女は夢を見る。それは彼女が持つ宿命なのか、それとも――。
そして彼女は恋をする。
その相手は、心優しく容姿端麗な王子「エドワルド」
だが、身分も種族も違う事は彼女にとって大きな壁であり、結ばれる為には乗り越えなければならない壁だ。
そしてその壁は、もうひとつあった。
エドワルドの側近「ギルバート」だ。
彼がエレオノーラを王子から遠ざける理由。冷たく、時には横暴に。果たしてそれは、自身が仕える者に対する忠義心の現れなのだろうか。
エレオノーラ、ギルバート、エドワルド。
彼女らを取り巻く恋の三角関係は、何の前触れもなく起こる大海の嵐のように、大きく荒れ、渦巻き、冷酷な表情を垣間見せる。
しかしそれは永遠ではない。
嵐の後には再び、平穏な水面が戻ってくる。
安らかな波間。恵みの潮。
彼らに吹き荒れる嵐の後に、エレオノーラはどのような表情を見せてくれるのだろうか。
そしてその隣には一体誰が――――いや、それは完結してからのお楽しみという事にしておこう。