声を失くした人魚姫、想いを伝える声を忘れた人魚姫。

──H. C. Andersen.
世界有数の童話作家である彼の綴った人魚姫の物語が、こうも化けようとは誰が想像できただろうか。


──本作のヒロイン、人魚姫のエレオノーラが想いを寄せるのは王子エドワルド。身分故に頻繁に会うことは叶わず、会えたとしても王子の護衛であるギルバートと口喧嘩を繰り返してしまう。
そんな他愛のない日常、微笑ましいやり取りに心暖まったりもしますが、それだけでは終わらないのです。

──人魚が人として陸へ上がれるのは一年だけ。そしてその一年の間に愛した人と結ばれなければ、人魚は泡となり人々の記憶からも消えてしまう──

そんなリスクを承知で陸へ上がったエレオノーラを待ち受ける数々の出来事。
純粋な想いだけではどうにもなら無いと理解した彼女が何を思い、自らの心にどう向き合っていくのか。


──それを知りたければ、本作品を最後まで読んで頂きたい。
もどかしく辛い場面もあるだろうが、それもまた重要なのだ。
口に出さなければ伝わらない、彼らの純粋な想いをご賞味あれ──

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