LesPréludes ~ニジヰロチェリスト~

作者 スキマ参魚

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★★★ Excellent!!!

とても感動しました。
優しい語り口は文豪の童話の文章のやう。
されどもそこに在りしはわらしべだけのものならず、歳を重ねた人にこそ沁み入るものもありませう。

何をここから読み取るか、読み手を誘ひますのは不思議な雰囲気に囲まれた夢とも現ともわからぬ世界。
どこかからチエロの音が聞こえてくるやうです。
耳を傾けてみませう。心の琴線に触れ、魂を救ふ音を。

★★★ Excellent!!!

ソロは多くを望まなかった。
地位も名誉もなにも望まず、演じ奏でていただけ。

想いを旋律へ乗せ、表現していただけ。決して誉れ多いものではなかったが彼はそれで満足していた。
そうして死を迎えた先に出逢ったのがニジヰロ楽団という不思議な楽団。
彼はその一員となり彼らと共に、音楽と共に黄泉とも銀河とも取れる不可思議な世界を渡り歩く。

──そうして生前と同じく、無心でチェロを弾き続けた彼の前に現れたのは初老の男性。

この出会いが、物語を大きく動かすのです。


ソロの奏でた音色が、物語が語るものはなんなのか。
童話を思わせる優しい語り口調の中、それは確かに記され、奏でられています。
どうぞ耳を済ませ、倖の音色をお聞きください。

★★★ Excellent!!!

 天才チェロリストとして各地をめぐり、若くして命を終えたソロは、不思議な楽団へ迎え入れられます。
 そこは死後の世界なのか、あるいは違う領域なのか――、銀河を渡り歩く『ニジヰロ楽団』の一員になり、やはり無心にチェロを弾き続けていたソロの前にある日、不穏な雰囲気を漂わせた初老の男が現れるのです。ここから、物語は大きく動いてゆくことに。

 何も望まず、何も与えられず、果ててゆく命はこの世界にどれほどあるのでしょう。
 ソロの演奏は、この物語は、ひたむきな願いや優しい想いがどんな形で伝播するかを感じさせてくれます。
 懐かしさを感じさせる語り口調の幻想的な物語、ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

これは、チェリストとして活躍していたソロが若くして死んでからの物語です。

夜の演奏会に流れ星が集まるニジヰロ楽団。
もうこれだけでワクワクしますよね?

全編に漂う美しく物悲しい雰囲気と言葉の選び方が、子どもの頃夢中になって読んだ絵本や童話を思い出させてくれます。
(だからと言って子ども向けというのではなく、大人が楽しめるお話です)

最近は、奇をてらうようなものが多いなか、久々に純粋な童話が読めた気がしました。

何を言ってもネタバレになってしまうので、気になる方はぜひ読んでみてください!