いつも通りに目が覚めた俺。
世界もまた、いつも通りに動いているはずだった。
ただ一つ、誰の顔も存在していないことを除いては……
・
この作品を見てすぐに連想したのは、フランツ・カフカの「変身」でした。
朝起きたら虫になっていた、という始まりは強烈そのもので、この作品もまた似たような話なのかなと思っていました。
結論から言うと違いました。
読んでみないと伝わりにくいのですが、この作品のタイトルが示している通り、とにかく「息苦しい」のです。
主人公に何が起こったのか、どうして起こったのか、すべてが分からないまま、ただ憔悴しながら彷徨する……
その様子を描いた文章は実にパニックであり、読んだ後、自分の呼吸を確かめました。