今作は、過去に問題を起こしたとされる元アイドルと元人気ユーチューバ女子が出会い、自分達の大好きな音楽と共に、再起するまでの青春ヒューマンドラマです。
凸凹コンビと言っていいほどに性格が正反対の女子二人は、共に新たなバンドを結成し、それぞれの過去と向きあいながら、音楽を奏でていきます。
作者さまの確かな知識と文章術により、ライブの臨場感も大変すばらしく、会場の空気感や緊張感がびりびりと伝わってくるようでした。
私達により身近な現実の生活問題や、人生のステージが変わる時など、人生の節目節目に私達が思い悩むことが繊細に綴られており、登場人物達が日々思い悩み、誰かに影響を与え、与えられながら混沌とする日々を進んでいく様に何度も胸を打たれました。
最後、登場人物たちがそれぞれ前を向きながら掴もうとする未来に、目頭がとても熱くなり、私自身もとても励まされました。
とても素晴らしい読書体験でした。
音楽好きな方にはもちろん、青春ドラマ、ヒューマンドラマがお好きな方にとってもおすすめです!
濡れ衣の不祥事が原因でアイドルバンドグループを脱退しなくてはならなくなった晶羽。
そして、私怨による荒らしのせいで活動休止を余儀なくされたYouTuberの珠璃。
2人が出会い、共に再び音楽に取り組んでいく様子を描いた作品です。
とても面白いです。
キャラクターの人物造形にリアリティがあり、一人一人に血が通っていました。
奇抜過ぎず、けれど、それぞれが違った個性を持っています。
彼らのストーリーもその個性に裏打ちされたもので、それぞれらしい成長が感じられました。
中でも、最も心を掴まれたのは、音楽シーンでした。
ステージの様子、歌っている時の声が脳裏に浮上してくるようです。
臨場感に充ちた描写で、音楽鑑賞の追体験ができたように思います。
音楽にしっかりとハートを感じさせられる文章で、読者としてはもちろん、書き手としても憧れてしまいました。