概要
人々はその言葉を実行し、長い平穏の日々を続けてきたが、運命の小石が転がりはじめ、やがてそれは大きな塊に。この国は変わるのか、それとも、変えなければいけないのか。
騎士団の新入りカート・サージアントが騎士団員としての”はじめてのおつかい”でたどり着いた塔は襲撃を受け、廃墟と化していた。
そこで出会った口の悪い魔導士、人形遣いのピア・キッシュ。
住む家のないカートと、彼は一緒に暮らす事を提案し、少年はそれを受け入れて共同生活が始まる。
厳しい躾けを受け、感情を露わにできないカートであったが、自由気ままなピアとの生活で少しずつ前に進んでいく。
身分の高い貴族のアーノルドに虐められつつ、上手くかわしながら地下道の不審者の謎の調査を続ける
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!自分が自分でいたければ踊らされるな
改めて書くほどではないですが、タイトルは『マリオネットインテグレーター』です。人形を取りまとめる者は誰かってのがこの物語の鍵になります。
そうなると人形を操る魔導士ピアに注目しますよね。なんていったって人形は人間と区別句かない程精工な少女の姿をしているのだから。もう歩いているだけで可愛いし、戦っている姿はかっこいい! そりゃアーノルドもメロメロになるわ。
脱線したんで戻しますが、魔導士ピアの操る人形以外にもマリオネットはいるんですよ。それも大勢。例えば国の女王は精霊の言葉を盲信して自ら考える事を放棄しているように見えます。カートの先輩アーノルドの取り巻きも付き従っているだけなので同じよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰かの意図に踊らされ、絡み合う厭わしき運命の糸、断ち切るは我らの愛し子
タイトルにある『マリオネット』とは何なのか。
この物語の重要なテーマは、全てその問いに集約できると思います。
本作には、いろいろな『いと』が登場します。
登場人物それぞれに、目には見えない『いと』が絡んでいます。
愛を知らない少年騎士も。
素直になれない魔導士の青年も。
精霊の言葉を鵜呑みにする王宮の人々も。
彼らがどのように自らの意志に気付き、『いと』を断ち切るのか。
冒頭から流れるような展開の縦糸に、幾重にも張られた伏線の横糸が、物語を彩っていきます。
丁寧に紡がれていく登場人物同士の関係性が非常に魅力的です。
特に主人公・カートと人形遣いの魔導士・ピアのやりとりには、尊みが天元突破…続きを読む - ★★★ Excellent!!!少年騎士に絡む、過酷な運命の“糸”の正体は……?
心優しくも孤独な少年カート。精霊の言葉にすべて従う国の中、彼が騎士として成長していく王道ファンタジーです。
主人公の登場までには少し時間があり、少し昔のお話からはじまる導入部分。これが私はとても好みで……!この登場人物たち(もちろん大事なキャラばかりです)は、数年後にどうやって主人公と絡んでいくのかと考えると、まだ登場していないカート君のことが気になって仕方なくなるという笑
そんな、たくさんの伏線に彩られていよいよ登場する彼ですが、これがまた素朴で可愛らしい少年なのです。あまりにも丁寧さがすぎると卑屈に思えてもくるものですが、彼にはそんな気持ちも全然沸かなくて。本当にそつがなくて美しく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!〝いと〟を断ち切り、未来を切り拓く。心優しい少年の成長譚。
女王が「精霊の声」を聴き、そのお告げに従って動くことで、平和を保とうとしてきた国。個々が自らの意思決定に責任を持たずに生活し、決められた出来事をなぞっていく日々に、多くの国民が疑問を抱かない世界。
しかし、「精霊のお告げ」に頼りきった先細りの世界の暗がりでは、この国の在り方に警鐘を鳴らすかのように、不穏な因子が密かに芽生えていて……。時は流れ、騎士団の新入り・カートが、魔導士であり人形遣いの青年・ピアと出会うことで、人々の運命や生き方が大きく変化していきます。
マリオネットとは、何なのか。ある者は、負傷した肉体を補佐する器。ある者は、本当の気持ちを見つける途中の女王。登場人物の数だけ「マ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!全てが一つの交わりを持ち、繋りをみせた時、物語は大きく動き始める。
【簡単なあらすじ】
ジャンル:異世界ファンタジー
精霊の言葉を聞き、平和を守る国で、それはある変化をもたらした。本人も知らずに。ゆっくりと変わり始める、内情。それに気づかぬ人々。主人公は、精霊のいいなりになっている国や民に疑問を抱き始める。そしてかつての幼馴染みのヘイグとピアはそれぞれ、異変を感じ取っていた。果たしてこの国はどうなってしまうのだろうか? 次々と消されていく魔導士たちとその目的とは?
【物語の始まりは】
騎士団長の息子、ヘイグがある石を拾った経緯から始まっていく。幼馴染みと秘密基地へ向かった帰り、彼はある不思議な意思を拾う。だがその石は、父への届け物をしに城へ行った際、宰相…続きを読む - ★★★ Excellent!!!知らぬ何者かの“いと”ではない、人間の愛と意思が織り成す物語。
精霊の言葉を聞き、そのとおりに動くことで平和を保っている国。
三人の幼馴染み、その日常に起こった変化からはじまる物語は、しばしの時が流れたのち、不遇の少年カートが騎士団に入り、初の仕事を受けることで動き出します。
まっすぐなカートの目に映る、人形のような言動をする人びとに対する疑問。
精霊の言葉に従うという国の在りかたに隠された真実とは……?
主人公の成長は勿論、そこに関わった周りの人びとの変化も必見です。
緻密に練られた世界観と、随所に散りばめられた伏線。
そしてそのなかで、まさに生きている登場人物たち。
バランスのよい文章が、じんわりと沁みるような読後感をもたらしてくれます。
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