私達から見ていわゆる「異世界」にあたるエステリア王国。この世界には、時々異世界(私達がいる世界)から人が落ちてくる。この世界に、元自衛官であるコーヘイが落ちてくることで物語は始まる。……といういわゆる異世界転移もの。
───ではありません!!
特筆すべきはその緻密な世界観です。昨今は異世界転生・転移ものが流行っていますが、大抵の作品ではあまり触れられない「異世界に転移することはどういうことか」という部分に、きちんとフォーカスされているところが魅力。
例えば異世界転移してきた人を管理、サポートする組織があったり、異世界転移者ゆえの悩みや偏見があったり……と細部まで丁寧に作り込まれている世界観に、驚かされることばかりです。
この世界にも魔法という概念はありますが、魔法のしくみそのものにまで理論的な説明が取り入れられており……とにかく全てにおいて整合性がとれている為に没入感が違います。
前半は異世界転移してきたコーヘイと、数年前に同じように異世界転移してきた登録局員のフレイアを通した世界観の説明と水面下でうごめく陰謀の影。
後半は帝国ゴートワナや宗教団体、異世界人殺しなど、陰謀を中心に話が進んでいきます。張り巡らされてきた伏線を回収しながら少しずつ解けていく謎に読む手が止まりませんでした。
そして最後にわかるタイトルの意味。
この真の意味を知ったとき──あなたはきっと涙するでしょう。
とても心に残る、印象的な一作でした。
この物語は、突然異世界にやってくるという現代世界の人々をキーに、魔法が存在する異世界が舞台のお話です。
メインの登場人物は自衛官だったコーヘイとフレイアという二人の男女で、それぞれ元の現代世界からやってきた二人となります。
話の雰囲気的にダークな空気が漂っており、ラストも切ない形で終わり、とても私好みで、シリアスよりな雰囲気が好きな方にぜひ読んでほしいなと思います。
異世界転移のお話ならではの矛盾点や疑問点をすごくリアリティーを突き詰めて書かれており、物語へののめり込み具合がぐっと増し、作者様のお力に脱帽でございます。文章も固すぎることなく、とても読みやすく、物語の内容もすっと頭に入ってきて、どんどん読み進めてしまいたくなります。
こちらの作者様の他作品も読んでおりますが、どの作品もどんな舞台でもリアリティーをとても追求されており、これが処女作ということですので、ここに原点あり!だな、と心底思いました。
文章量もほどよい長さで、一気読みにもとても最適だなと思います。
様々な個性ある登場人物もたくさん出てきますので、きっとお気に入り人物が見つかるかと思います^^
私は出番がめちゃくちゃ少なかったのですが、レオン様を推しております(笑)
主役である元自衛官のコーヘイさんも、知らなかった異世界にどんどんと馴染んできて、とても憎めないキャラというか、いい人というか、ひょうひょうとしていて好きです。2部では彼がまたもっと活躍しそうなので、とても楽しみです。
魔法の存在する異世界へ、別の世界から突然転移してきてしまう——転移物のまさにオーソドックスとなっている設定ですが、実際そんな事態に直面したら、転移してきた方も、受け入れる方も戸惑っちゃうと思いませんか?
そんな疑問に答えてくれるのがこの物語です。
魔法が発達しているが故に、技術が発達しなかった世界で、先進的な技術を持つ異世界人は一部では歓迎され、一部では敵視される。黒髪黒目の少女フレイアは、記憶を失っているが故に、異世界人としてもどこか浮きがちですが、持てる知識とその前向きさで努力し、この世界に適応していこうとしています。
そんな彼女に心惹かれていく、同じ異世界人のコーヘイ。そして、異世界人を敵視する魔導士の筆頭である銀髪紫眼のセトルヴィードもまた、健気に頑張る彼女に惹かれていきます(踏み込まない彼に、もだもだします!)
異世界は決して楽園ではなく、そこに生きる人々にも生活があり、葛藤や苦悩がある。そんな人と人との関わり合いが丁寧に描かれ、そうして大きな事件に巻き込まれた彼女が最後にした選択は、とても彼女らしく、それでも糸がぷつりと断ち切られるような切ないラストに呆然としてしまいました。
やがて『マリオネットインテグレーター』などの物語へとつながっていく原点とも感じられる、ファンタジーの要素がぎゅっと詰まった一作。
おすすめです!(続編も楽しみです!)
文章力が高く、一話ごとの文字の多さに比べて負担にもならない理解しやすさ。
キャラクター達にも個性があり、生き生きとしていて、極端すぎる属性も見当たりません。
内容は王道というか聖女ものにありがちですが、最後の終わり方が良くある乙女ゲー的ハッピーエンドではないので、最近の悪役令嬢ものとか聖女ものに嫌気がさしている方には特におすすめです。
タイトルやタグ、あらすじを見ただけだと見落としてしまいそうになりますが、中身は読み進める毎に引き込まれていく魅力があり、気付いたら最後まで読んでた――なんて事になる作品でしょう。
※ただし、ハッピーエンドではないので、それ以外認められないという方は向きません。
レビューを先に書いて下さってる方々ありがとう。良い作品と巡り合えました。
それが無かったら見落としてたわ、これ……。
それくらい今は埋もれてる状況なので、気になった方は騙されたと思って読まれるてみると良し。
文章力が高く、また、お話の構成や設定にも無理がないため、安心して読むことが出来ました。一作目とは思えない完成度の高さです。頁が進むにつれて、キャラクター、あるいは、文章が生き生きと勢いよく動き出し、お話の世界にグッと引き込まれました。
やや説明不足な部分も感じましたが、それを補って余りあるほど、各キャラクターや世界設定の魅力が大変高かったです。お話の中で登場している部分以外にも、それぞれの細かな設定を考えていらっしゃったのでは、と思います。各キャラクターが「生きている」ので感情移入もしやすいです。もっと彼らのことを知りたい、と欲が出ます。
テンポのよい文章で小気味よく読み進められるので、読後感もよく、次回作が楽しみです。
一作目とは思えないほど、完成度が高いと思いました。分かりやすく簡潔な文章は、説明的な部分もややありましたが、情景が浮かび、読みやすく、あっという間に全部読めてしまいました。面白かったです。
何より、登場人物が魅力的ですね。コーヘイ君が私は好きですが、セトルヴィード派と意見が分かれそう。キャラクター達の活躍するシーンがもっと読みたかったなぁと思ってしまったので、後半、少し駆け足になってしまったのかなぁ?と言う点が少し残念です。
読んでいて、小説を書くことを楽しんでいらっしゃるのが伝わり、私も、ワクワクしました。次回作も期待しています(*^^*)