誰かの意図に踊らされ、絡み合う厭わしき運命の糸、断ち切るは我らの愛し子

タイトルにある『マリオネット』とは何なのか。
この物語の重要なテーマは、全てその問いに集約できると思います。

本作には、いろいろな『いと』が登場します。
登場人物それぞれに、目には見えない『いと』が絡んでいます。
愛を知らない少年騎士も。
素直になれない魔導士の青年も。
精霊の言葉を鵜呑みにする王宮の人々も。
彼らがどのように自らの意志に気付き、『いと』を断ち切るのか。
冒頭から流れるような展開の縦糸に、幾重にも張られた伏線の横糸が、物語を彩っていきます。

丁寧に紡がれていく登場人物同士の関係性が非常に魅力的です。
特に主人公・カートと人形遣いの魔導士・ピアのやりとりには、尊みが天元突破して何度か息が止まり、床を転げ回るなどしましたので、これから読む方は周辺環境にご注意ください。
作者さまの手のひらの上で操られていたのは私かもしれません。

全ての伏線が鮮やかに回収されるクライマックスは圧巻。
すっきりとした清々しい希望の光が見える、素晴らしい読後感でした。
とても面白かったです! 続編も楽しみです。

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