知らぬ何者かの“いと”ではない、人間の愛と意思が織り成す物語。

精霊の言葉を聞き、そのとおりに動くことで平和を保っている国。

三人の幼馴染み、その日常に起こった変化からはじまる物語は、しばしの時が流れたのち、不遇の少年カートが騎士団に入り、初の仕事を受けることで動き出します。

まっすぐなカートの目に映る、人形のような言動をする人びとに対する疑問。
精霊の言葉に従うという国の在りかたに隠された真実とは……?


主人公の成長は勿論、そこに関わった周りの人びとの変化も必見です。

緻密に練られた世界観と、随所に散りばめられた伏線。
そしてそのなかで、まさに生きている登場人物たち。
バランスのよい文章が、じんわりと沁みるような読後感をもたらしてくれます。
おすすめです。

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